【まさに伝説級】最新AMG「E53ハイブリッド」に試乗して思い出す。ポルシェ・チューンのW124型「E500」という異端の存在

AMG E53

AMG「E53」の走りに、「E500」の記憶が重なる

実際の走行フィールも期待に違わないものだった。エンジン始動時のデフォルトはエレクトリックモードで、バッテリー残量がある限りモーター走行となる。車重2430kgという重量級にもかかわらず、480Nmのモータートルクにより加速は十分に力強い。

引き締まったサスペンションと20インチタイヤが相まって、AMGらしいダイレクトな応答を味わえる。走行モードをスポーツ＋に切り替えると、直列6気筒エンジンとモーターが生み出す分厚いトルクの連なりにより、AMG作品としての高い完成度を実感する。

4マチックプラスによって四輪に駆動力が最適配分され、アダプティブダンパーやリアアクスルステアリング、電子制御LSDが大柄なボディの挙動を巧みに制御。ドライバーに、あたかも自らのスキルが引き上げられたかのような錯覚を与える。

街乗りでの洗練性と、オープンロードでの高揚感を両立するE53は、現代スポーツセダンの完成度を示す存在である。そして筆者の脳裏には、かつて所有していたW124型「E500」が自然と重なった。