カービューロードスター 初優勝までの舞台裏!
掲載 更新 carview! 文:伏木 悦郎/写真:北畠 主税
掲載 更新 carview! 文:伏木 悦郎/写真:北畠 主税
北畠主税は、クルマを撮らせたら日本でも有数のフォトグラファーである。今回は、このレースのためにドイツの取材から一旦戻り、翌日再び取材現場に向かうというクルマ好き冥利に尽きるタフ(アホ)な闘いに挑んだ。
本業の充実はドライビングにも反映し、結果的にチームのベストラップを残すというオマケも残し、さらにポジションを2つほど上げてピットに戻ってきた。この段階では誰も現実感は抱いていなかったはずだが、徐々に運は我々に近づきつつあった。
第4スティント担当の僕は、早朝からウェットコンディションを望んでいた。リスクは高まるけれど経験が物を言う。正直言って、この頃は頭も身体もスピードへの対応が鈍っている。昔話は何の役にも立たないが、最盛期の高みを見上げている自分を認めるのは切ないものだ。僕の出番は燃料補給(3分停止の義務づけ)があるので余裕があった。ここまでのチームの作戦はことごとく当たっていた。そして、この後さらに天も味方についてくれることになるのである。
後で振り返れば燃料には余裕があった。もっとペースを上げても十分足りただろう。しかし僕は5500rpmシフトを基本に、3速では6000rpm も可として試行錯誤を繰り返した。一向に好転しないタイムに苛々していると、来ました!(雨)
冷静になって分析すると、ウェットになってからの僕のタイムはちっとも速くない。最終コーナーでは『あわや……』で驚かせたりもした。直線部のエスケープゾーンを使い切ったフルカウンタードリフトは、注視するピットに悲鳴上げさせたようだが、本人は(きっちりコントロールできた)と自信を深めていた。途中2度SCが入る難しいコンディションだったが、リスタートを含めノルマはきっちりこなせたと思う。
2度目のSCが出たところでピットはドライバー交替を選択。そのタイミングが絶妙でアンカーのランチアに代わって落ち着いた時には2位に1分以上の大差を築いていた。その後モータートレンドの猛追もあったが、チェッカー時にはまだ45秒以上のマージンが残っていた。
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