オトコを狂わせるセクシースポーツ=新型Z4
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:齋藤 正
掲載 更新 carview! 文:小沢 コージ /写真:齋藤 正
一方、実用性は完全2シーターがゆえさほど期待できないが、トランク容量は最大で310リッター、ルーフを開けた状態でも180リッター残っており、大人2人分の簡単な旅行バッグは収納できる。さらに今回はシート後ろにちょっとしたカバン置きスペースも加わった。これは侮れないポイントで、普段ちょっとしたブリーフケースを載せるには適当だろう。
肝心の新装リトラクタブルハードトップだが、なにがいいってスタイルと開閉時間である。ルーフを開けた時はもちろん、閉じてもクーペ並みの美しいフォルムを実現したし、なにより開閉約20秒と素早い。さらに侮れないのが、開閉が“大袈裟さではない”ことだ。フル4シーターオープンの場合、ルーフが長いので開閉作業をしてて目立つ。だが、2シーターなら短いためスッと済む。開けて走る時も、確実に風の巻き込みが少ない。新型Z4はそれなりにフロントウィンドウが立っており、面積も旧型比で14%もアップしているので、視界がいいのと同時に開放感も良好だが、大抵は風の巻き込みが多くなる。だが2シーターがゆえに大したことはない。室内の容積が小さいからである。これなら本当に毎日開けて乗れそうだ。
しかし、今回の本当のキモは全体のポジションと価格の絶妙なシフトアップだ。実は初代Z4は安い方なら約450万円スタートとこの手としては手軽で、ライバル、メルセデス・ベンツSLKより若干格下のムードがあった。なんというか少々マツダ・ロードスターに近かったのだ。しかも初代は後に加わったハードトップのZ4クーペが拍車をかけて、より硬派な印象を与えたのだ。ところが今回は見事にイメチェン。スタイルを一新させ、セクシーさを増しただけでなく、最新式のリトラクタブルハードトップとギアボックスを纏い、明らかにゴージャス方面にシフトアップ。と同時に価格も70万円前後上昇、価格帯は523~700万円になった。
これはもちろん最新型のオープントップ代とみることもできるが、うがってみれば便乗値上げにほかならない。もしくは現在の不況に対応した売り手の都合であろう。だがこのクルマに見てヤラれ、乗ってヤラれた人にとってはさしたる問題ではない。それはおそらく大抵の世の男性が、凄く気に入った女性と初めてデートする時にお金をケチらないような心理だ。男は性欲を刺激された存在に対し、誠に弱い。とりあえず目的を遂げるためには手段を選ばない。このシフトアップ戦略はその男性心理を巧みに付いたものなのだ。美しさ、あるいは絶対的セクシーさを持つ者の特権だ。
性欲を直撃するスポーツカー。その存在はあまりに憎らしく、そして少々ズルい(笑)。
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