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シトロエンDS3海外試乗 仏発のプレミアムハッチ

ドライビング好きを飽きさせない走り

パリの西の端っこ、ポルトマイヨーからデファンス方面に抜け、いよいよ郊外に。するとペースが上がるから、クルマの印象もそれにつれて変化する。前記のように、大して回転を上げず早め早めにシフトアップしても、DS3はまったく不足のないペースを保てるけれど、前が空いたのを見計らって3速あたりで高回転まで引っ張ってやると、本国仕様で1165kgと車重が軽いことも幸いして、爽快な加速を振る舞ってくれる。一方、メーターの100km/hは6速で2100rpmにすぎないから、静かな高速クルージングが味わえる。

低速ではやや硬めに感じられたサスペンションだが、スピードが上がるにつれてシトロエンらしさが滲み出てくる。全体に17インチ装着車らしい締まった乗り心地だが、その芯の部分にはシトロエンが長年培ってきたしなやかさが備わっている、という印象なのだ。と同時に、高速クルージングにおいては、クルマは小さいながら真っ直ぐに突き進むという、フランス車らしい、なかでも特にシトロエンらしいキャラクターが明確に備わっている。しかもそれでいて、ドライビング感覚が適度にスポーティなところがDS3の、なかでも特にTHP150仕様の持ち味だといえる。ステアリングのギアレシオはミニほどクイックではないが、ワインディングロードにおける身のこなしは充分な手応えを持ったもので、ドライビング好きを飽きさせることはない。

つまりシトロエンDS3、モダンで個性的なスタイリングと適度にスポーティで心地好いドライビング感覚、それに不足のない居住空間や荷室容量を併せ持った、ユニークな小型車に仕上がっているといえる。気になるのは、1.6リッターNAエンジンと4AT、それに16インチタイヤを履くソフトな脚を備えたVTi120仕様がどんな乗り味を持っているかということだが、今年の5月頃には全モデルが日本に導入されるというから、そこですべてが明らかになるはずだ。「アンチ・レトロ」に共感した前衛派は、是非その日を愉しみに!

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