新型ゴルフはコネクト性能でライバルを圧倒。トヨタの技術者は3~5年遅れを取ったと危機感を強めた
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:フォルクスワーゲンAG 217
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:フォルクスワーゲンAG 217
まずはeTSIに乗る。注目の48ボルト電源システムを使ったマイルドハイブリッドは、燃費の約10%低減(詳細は未発表)が最大のメリット。モーターによる動力性能の上積みもあるにはあるが、なにせ「800-1500rpmで、最長10秒間、最大トルク50Nmのモーターアシスト」というごくごく限られたものなので、アクセルを踏み込んでも「おっ!」という驚きはないし、モーターのみで走行するモードもない。神経を研ぎ澄ましてようやく、低速域でアクセルを軽くスッと踏み込んだときの"ツキ"がわずかにいいかな、と感じる程度である。むしろ体感しやすいのは、アイドリングストップからのスムースな再始動や、巡行中にアクセルオフした際の積極的なエンジン停止、そこからのスムースかつ瞬時の再始動となる。
もちろん、厳しい二酸化炭素排出規制と対峙している欧州メーカーにとって10%の燃費低減は喉から手が出るほど欲しいものだ。しかし、フルハイブリッドの強烈な低燃費に馴染んだ日本人としては正直インパクトに欠ける。まあ、このあたりはマイルドハイブリッド代がいかほどになるかが明らかになってから(今回の試乗会時点では未公表)の判断となるだろう。仮に素のTSIとの価格差が10万円以上あり、なおかつエコカー減税額が変わらないとすれば、日本には素のTSIを入れたほうがいいかもしれない。
新しい2LTDIは、欧州の厳しい規制をクリアすべく尿素を2段構えで噴くなど入念な排ガス対策を施している。先日日本で試乗したゴルフ7のTDIと比べると静粛性が高まり、中高回転域のパワー感もわずかに高まったなという印象。日本ではあまり体感できないが、空力性能向上のおかげで高速域での車速の伸びはなかなかのものだった。
eTSI、TDIともに言えるのは、参りましたというほどのインパクトはないものの、7速DSGとのマッチングを含め、気持ちよさと扱いやすさと静粛性と燃費と動力性能を上手にバランスさせたエンジンだということ。インパクト狙いの人は、この先登場するであろうGTIやPHEVのGTEといった役付きゴルフに注目するといいだろう。
プラットフォームをキャリーオーバーしたとはいえ、走りだすと進化の成果はちゃんと感じられる。なかでもロードノイズの抑え込みと、良路悪路を問わずしなやかでスッキリした乗り心地には確実に磨きがかかっている(ただしオプションの18インチタイヤ装着車は上下の揺すられ感が大きかった)。高速道路でのどっしりしたステアリングの据わりやコーナーでの素直なライントレース性もそう。言ってみれば、ゴルフ7の長所をさらに伸ばしたような乗り味である。先進安全装備もさらに進化した。
とはいえ、正直なところゴルフ7のオーナーに「これは大急ぎで乗り換えなければ!」と思わせるほどの大進化ではないのも事実。「カローラスポーツ」や「マツダ3」、「プジョー 308」など、ゴルフ7に並んだ最新ライバルたちを再び僅差でリードはしたものの、ゴルフ7登場時のような圧倒的な差を痛感させられることはなかった。
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