新型NSXは初代NSXの進化型じゃない。サーキット試乗で見えた正体とは?
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:篠原 晃一
いまから四半世紀以上前に「初代NSX」は誕生した。ホンダとしては1960年代に開発した「S600」以来の出来事だったので、バブルやF1参戦の勢いも後押して、開発チームの熱気は火傷しそうに熱かったと記憶している。
ここでは初代NSXには詳しくは触れないが、ハッキリさせておきたいことがある。それは“旧NSXと新型NSXは名前こそ同じだが、技術コンセプトは大きく異なっている”という事実だ。先代は経験の浅い=普通のドライバーでも限界まで操れるスポーツカーを目指して開発された。当時のホンダは「誰でも乗れるスポーツカー」とPRしていたが、私は「誰でも楽しめるスポーツカー」ではないのかと思ったものだ。当時のNSXのベンチマークはフェラーリとポルシェ。どちらのスポーツカーも人間の持つ感性を限界まで研ぎ澄ますことを楽しめるスポーツカーだが、一般の人には乗りこなせなかった。
パワーステアリング、トラクションコントロール、ABS、エアバッグ、小型のゴルフバッグなら格納できるブートスペース(トランク)と安全装備や快適装備も万全だった。スペック的にも欧州のスーパースポーツにひけをとらないパフォーマンスに驚いたものだ。その価格も国産車最高額の800万円であった。
新型NSXは同じ名前を使っているが、中身は大きく異なる。チーフエンジニアのテッド・クラウス氏の言葉を借りると「初代NSXはアコースティックギター、新型NSXはエレキではないセミ・アコースティックギター」だという。ポイントは「電気を使った走り」だ。少し前までの自然吸気の「911カレラ」と、ターボを使った「911ターボ」の関係に似ているかもしれない。新型NSXは初代NSXの進化型ではなく、まったく新しい技術コンセプトを持ったスーパーカーなのである。
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