レクサスUXはハッチバックのようなSUV。ブランドを引っ張る強い個性と味がある
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:菊池 貴之 22
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フットワークにも大きな進展がある。LC以降のレクサスは、レクサス味として「スッキリと奥深い」という表現を設定。そこに向かったチューニングをしてきた。それがUXにも適用されたのが大きなニュースだ。たとえばメルセデスは「Aクラス」から「Sクラス」まで一本の筋が通っている。BMWやアウディもそうだ。しかしこれまでのレクサスは個々のモデルの乗り味がバラバラだった。プレミアムブランドとしてそれは寂しい。そこでUXの開発者は徹底的にLCに試乗し、味を似せていった。
もちろん1500万円クラスの2ドアFRクーペとまったく同じ走りにできるわけではないが、ステアリングを切り込んでいったときのノーズの反応やリアの追従性、ステアリングの反力、ブレーキのタッチなどを、数値評価とフィーリング評価で煮詰めていったという。その結果、UXにはたしかにLCと共通する味わいが生まれた。UXのフットワークは見かけ以上に軽快だ。しかしそれは決して軽薄なものではなく、しっとりした落ち着き感も備えている。そして何より、仮に目をつぶって乗ったとしてもレクサスだとわかるのがいい。プレミアムブランドはやはりこうじゃなくちゃいけない。
その上で、標準仕様はややソフト、Fスポーツにはややしっかり方向の味付けが施された。僕が気に入ったのはFスポーツのAVS(可変ダンパー)付き。コンフォートモードを選択すれば乗り心地は十分快適。スポーツモードにすればしっかり感が増す。荒れた路面では少々上下の揺すられ感がでるものの、乗り心地も許容範囲内だ。
唯一気になったのは、ステアリングが太すぎることと、素早い操作時にステアリングホイール自体の慣性マスが気になること。Fスポーツに標準系のステアリングが付けば僕の好みにバッチリ合うのだが…。まあ、とりあえず贅沢は言わないことにしよう。UXは、レクサスの狙い通り、他にはない強い個性を身に纏うクルマに仕上がっている。1台のクルマとしての完成度もさることながら、レクサスの魅力を広くアピールするモデルとして、ボトムエンドからブランドを引っ張っていくに違いない。
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