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シリーズ最強の256ps! アウディS3に試乗

時代とともに変化するベースモデルの最高峰

実は「S3」というモデルが日本に導入されるのは、これが初めてではない。古い話だが、初代A3には3ドア+6速MTというマニアックな仕様が用意されていたのである。本国仕様には現行モデルでも変わらずSモデルが設定されていたにも関わらず、それがしばらく日本でのラインナップから落とされていたのは、これまでは従来通り6速MTしか用意されていなかったからだ。しかし昨年、ベースとなるA3と同時に行なわれた、登場5年目としては異例のビッグマイナーチェンジで、いよいよS-トロニック搭載車が登場。晴れて日本のユーザーにも、最新のS3が届けられることとなったのである。

アウディにはスポーツラインナップとしてSモデルのほかにRSモデルも用意されている。RSが価格など度外視に極限までスポーツ性を追求したものとすれば、Sは“ベースモデルの最高峰”に位置する存在と言えるだろうか。線引きは難しいが、そこには価格という要素も入ってくるのかもしれない。このS3の導入とともに、A3が3.2FSIクワトロをラインナップから落としたことからしても、Sモデルはあくまでベースモデルの最高峰として位置づけられる存在だと言って良さそうだ。そう考えれば、少なくとも日本向けがS-トロニック待ちだったことも理解できる。

更に、S3が従来までの3.2FSIクワトロに取って代わったことには、もうひとつ理由がありそうだ。それは“燃費”という社会的要請である。S3はアウディが進めるダウンサイジング戦略に従って、大排気量NAエンジンの代わりに2リッター直噴ターボ・ユニットを搭載し、以前の3.2FSIクワトロを上回る最高出力256psというスペックを達成しながら、同時に10・15モードで10.4km/リッターという好燃費をも叩き出している。時代の変化も、S3こそを求めていたのである。

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