シリーズ最強の256ps! アウディS3に試乗
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:中野 英幸
S3は確かにサイズから言えばコンパクトカーという範疇に属するクルマだ。エンジン排気量だって2リッターでしかない。しかし内容の面で、上級モデルに見劣りする部分はほとんど無いと言っていい。内外装のクオリティはひたすらに高く、装備にも不足は無い。そして何より特筆するべきがその走りっぷりだ。単純な性能ばかりでなくフィーリングの面でも、そのエンジンは高い精度を感じさせるし、最新世代のハルデックス式4WDの採用によって本当の意味でのフルタイム4WDとなったシャシーは、これまでA3系にあった他のアウディ・クワトロとの格差感を遂に解消してしまった。
つまりサイズも排気量も小さいものの、そこで得られる歓びは他のSモデルにほとんど遜色ないものだと言うことができる。大きさによるヒエラルキーを超越して、真の意味でダウンサイジングのみが行なわれているというわけだ。
確かに515万円という車両価格は安くはない。大きいほど立派だという旧来の価値観に照らし合わせれば、尚のことである。しかしながら、こうした観点からクルマの価値を純粋に評価した時、S3の価格は決して高くないと言ってもいいのではないだろうか。2.0TFSIとの価格差72万円も、こちらにはナビゲーションシステムも標準装備と考えれば、むしろリーズナブルと感じられるほどである。
単なるA3のハイパフォーマンス版ではなく、アウディSモデルの価値をA3のサイズに凝縮した密度の濃い存在。S3スポーツバックは、とりわけ今の時代には、大いにアリな選択と言えるのではないだろうか。
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