新型アウトランダーPHEVは500万円級SUVとして納得の走りと乗り心地。8割が選ぶ3列目シートはサイズを要確認
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:小林 俊樹、三菱自動車 293
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:小林 俊樹、三菱自動車 293
2021年12月16日に発売された三菱「アウトランダー PHEV」。立ち上がりは好調で、すでに受注台数が9000台を突破した。昨秋の最終プロトタイプサーキット試乗で、速さとコーナリング性能の高さは確認済み。このほどようやく一般道試乗の機会を得たので、その印象をご報告する。
約1時間与えられた試乗時間。試乗開始時、バッテリー残量は約30%だった。最上級グレードの「P」は満充電からのEV走行可能距離がWLTCモードで83kmのため、ざっくり25km前後のEV走行が可能のはずだ。
バッテリーセーブモード、バッテリーチャージモード、EVプライオリティモードと3つある走行モードのうち、まずはバッテリー残量に余裕がある限りできるだけエンジンを始動しないEVプライオリティモードを選択。これだと運転感覚はEVそのものだ。停止状態からアクセルペダルを踏み込むと、スーッとスムーズに発進し、途中で変速を挟むことなく望む速度に達する。静粛性も高い。エンジン音が発生しないクルマで目立ちがちなロードノイズもよく抑えられている。
数百メートル先の交差点の信号が赤なのを認識して減速を始める。アクセルペダルから足を離すと空走状態に。左パドルを引く度に減速が強まり、最後はフットブレーキを踏んで完全停止。これはイノベーティブペダル オペレーションモードがオフの状態。オンにするとアクセルペダルから足を離すと同時に強い減速Gが立ち上がり、ほどなく停止寸前まで減速できる。ただしこのモードでも最後はフットブレーキを使って完全停止しなければならない。街なかではオンの状態で走行するほうが、ペダルを踏み替える頻度を減らすことができ、運転しやすい。
バッテリー残量が約10%ほどになった段階で、ノーマルモードに切り替える。メーター表示のうえでバッテリー残量がなくなるまでは(実際になくなるわけではなく、わずかになった段階)、このモードでもEV走行が基本となる。高い負荷を掛けた場合にエンジンが加勢することになるが、街なかを交通の流れに沿って走行する程度ではほとんどエンジンのお世話になることはない。
このほかセーブモードは現在のバッテリー残量を維持して走行するモードで、チャージモードは目的地でバッテリーの電力を取り出してキャンプなどのアクティビティに使えるように、着いた段階で十分なバッテリー残量を残すべく、エンジンで発電しながら走行するモードだ。多くの輸入車のPHVにもセーブモードやチャージモードが備わるが、バッテリーの電力を取り出して走行以外に使うことができない車種が多いため、走行以外に電力を使うことができる点はアウトランダーをはじめとする国産PHVの大きな利点だ。
ともあれ、EVプライオリティモードだろうとノーマルモードだろうと、アクセルペダルの踏み方次第で強烈な加速を生み出すこともできるし、ジェントルな振る舞いに徹することもできる。この日、クローズドのオフロードコースでの走行の機会もあった。昨秋のプロトタイプ試乗で2.5Lエンジン+前後モーターが繰り出す強力なパワーによる、2.1トンにおよぶ車両重量をものともしない猛烈な加速力に舌を巻き、長年のWRC参戦で蓄積したノウハウを注ぎ込んだ自慢の車両運動統合制御システム「S-AWC」(スーパーオールホイールコントロール)によるコーナリング性能の高さに感心したが、悪路ではどうか。
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