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V70で東京-金沢1200km 河口まなぶ ドライブ旅記

優しい乗り味は、昆布〆の味わい深さに似ている(笑)。

SAで運転を交代し、再びV70を走らせた。先代V70は身体を優しく包み込む、暖かみのある乗り味・走り味が「らしさ」だったが、新型はそうした魅力はそのままに、確実にダイナミクス性能が向上している。それが先述した「オっ」につながるワケだ。

先代同様サスペンションが路面をしなやかにとらえつつ、新型はボディを常にフラットに保つ。適度なしなりを持つ剛性感はドイツ車のように路面を強く踏みしめる感覚でなく、路面からの入力をしなりでいなし、優しいフラット感を作る。先代は同じ状況でボディが揺すられる場面もあったが、新型ではしっかり抑えて突き進む。ゆえにそこには頼もしさと優しさの高レベルな同居を感じる。

2.5リッターの直5ターボは200ps/30.6kg-mと控え目で、1750kgの車重にはやや物足りないが、その分ここでも優しい感触が溢れている。力の出方は言われるまでターボとは気づかぬほど自然で、滑らかかつ伸びやかに回転が上昇し、良くできたNAエンジンのように素直に反応する。しかもその反応がマイルドで、組み合わせる6速ATも滑らかな制御をするため、ここでもじんわり染み入る優しさに溢れた加速が提供されるのだ。

一方こうした優しい感触を引き立てるのがシートの存在。柔らかな感触の表面としっかり身体をサポートする骨格の組み合わせは、身体を点ではなく面で支えるため、身体を預けると至極心地よい。インテリアの質感向上は先にも記したが、視覚的にも暖かみがあって心が和むのも良いところだ。

そうして僕はV70の様々な優しさに包まれながら、ようやく金沢へ着いた。再び薬で歯痛を抑え込み、夜の片町へ鮨を求め出た。鮨処・金沢でもエッヂの効いた気鋭の店でおまかせを愉しむ。僕は鮨のネタでは大将の仕事っぷりが分かりやすい昆布〆が好み。この晩頂いた昆布〆も、旨味がしみ込んだ逸品だった。この昆布〆の味わい深さ、僕はなんだかV70の優しさに通じるものを感じた。

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