フリード試乗、コンパクトミニバンに欠けていたもの

パワートレーンは一種類

室内の造りを見ると、理にかなっており商品説明を受けていても「これはいいな！」と頷けるものが多かった。だが、特に販売価格でしのぎを削るコンパクト市場。開発費にも当然制約が重くのしかかるからこそ、このように内装を凝ると走りの性能が…。というクルマが多かったのも事実。

だが、フリードは違う。エンジンラインナップは1.5リッターのみで、組み合わされるトランスミッションは燃費性能にも優れるCVT（4WDは5AT）。日常使用におけるその加速力は、フル乗車をしない限りストレスなど感じない。エンジン音や走行音などの静粛性レベルは平均的だが、CVTとエンジンの相性が良いのだろう。深くアクセルを踏んでも、エンジンが唸る感覚は少ない。

そしてハンドリングにおいても、その全高から想像できるカーブでのロール量やフラッとクルマが曲がるような不安な動きも抑えられており、ありきたりな表現だがホンダが誇る低床・低重心技術が活きていると感じる。またこの技術は、乗り心地も良くするもので、リアタイヤの上に座る3列目シートでこそ大きなギャップで突き上げ感は感じるが、オーバーハングも短く乗り心地レベルも高い。

加えて運転のし易さも注目で、乗りこんだ瞬間こそ段をあえて作ったダッシュボードの造りや、メーターだけが独立している独創的な造りに違和感を思えるが、視認性も高く、目線の移動も少なく運転し易いと思えたのだ。