2台のアストン、フルカーボンオープン&最速
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:アストンマーティン
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ヴァンキッシュ・ヴォランテのテストドライブは全域オープンでこなしたが、ボディはたしかにクーペに遜色のない剛性を感じさせ、不整路を走っても緩い印象を与えることがない。したがって乗り心地は常に快適だったし、オープン走行時の風のコントロールも良好で、まったく他のクルマがいない広いストレートで瞬間的に時速100マイル近くまで出してみても、被ったキャップが飛びそうな気配は皆無だった。しかも今回はその恩恵にあずかることはなかったが、電動ソフトトップはたった14秒で開閉可能だという。
もちろん、パフォーマンスはまったくもって充分だが、アストンのV12はたとえハイパワー仕様でも低回転域からまったりしたトルクを捻り出すから、飛ばせ飛ばせという性急な感じにならないのがいかにもイギリスのエンジンらしい。タッチトロニックIIと呼ばれる6段ATは、タイトなワインディングを飛ばすときなどにはもっとギアが細分化されていればと思わぬではないが、前記のトルク特性ゆえ、エンジンとの相性は良好である。
ステアリングはやや軽めだが路面フィールは充分、しかもレスポンスは適度にクイックだから、コーナーの連続を攻めると実にスポーツカーらしい切れ味を感じさせてくれる。カーボンファイバーボディの剛性の高さはここにも効いていて、サスペンションがオープンボディにありがちなルーズな動きを見せることもなく、ヴァンキッシュ・ヴォランテはドライバーの意図するラインを正確にトレースしていく。
パームスプリングスを出て岩山を縫うように続くワインディングロードを走り、夕方、宿泊地である砂漠のなかのキャンプサイトに着くまでのドライビングは、ファン・トゥ・ドライブであると同時に、すこぶる快適でもあった。オープンボディの、素晴らしく贅沢なスーパーGTというヴァンキッシュ・ヴォランテのキャラクターは、それに相応しいリッチの生活を彩るカテゴリーのひとつとして、確実にアリだと思った。
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