M3セダン/M4クーペ、カミソリのような切れ味
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:BMWジャパン
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:BMWジャパン
M3と言えばBMWの中でもサーキットを最速で走ることができる、トップランナーだ。初代M3はヨーロッパのツーリングカーレースで勝つために開発されたグループAのマシンであった。宿敵はメルセデス・ベンツ190E 2.3-16であったが、クラス違いのシエラ・コスワースを追いかけまわし、スパやニュルブルクリンクで行われる24時間レースでは、つねに総合優勝を狙っていた。
初代E30・M3は2.5L自然吸気の4気筒エンジンだが、ハンドリングはまるでカミソリのような切れ味だった。サーキットを走ると、フロントタイヤの限界がどこにあるのか、探っても見えないほどハンドルはよく切れた。
そんなM3は代を重ねるにつれて、エンジンはどんどん大きくなり、4代目ではついに4L V8を積むようになってしまった。大きなエンジンは兄貴分のM5に任せればいいのにと思うのだが、時代がパワーを求めていたのかもしれない。しかし、カミソリの異名を持つ(私が勝手にそう思っているのだが)M3の本質はコーナーリングだ。ポルシェがずっと6気筒エンジンでV8と戦うように、M3には4気筒とは言わないが6気筒で頑張って欲しいと願っていた。ポルシェのフラット6とBMWのストレート6こそ、完全バランスの貴重なエンジンなのである。
今回、新型M3の試乗会がポルトガルの南端に位置するファローという町で行われたが、ここはBMWのDTMが合宿するサーキットがある。そこを思い切り攻めることができると聞いて、ユーラシア大陸の西南端までやってきたのだ。今回の試乗会はM3クーペの後継モデルとなるM4も同時に発表されていた。BMWのエンジニアの説明では、M4の重量は20kgほどM3よりも軽く、横幅と全高もM4のほうが若干小さいが、ドアの数が異なるだけで、動的性能は同じらしい。ただしM4にはオープンモデルが用意される。今回はM3とM4の両モデルをサーキットでテストしたが、乗り味はまったく同じであった。
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