M3セダン/M4クーペ、カミソリのような切れ味
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:BMWジャパン
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:BMWジャパン
細かいスペックはまだ書き尽くせないが、サーキットを中心にした実際のドライブフィールをレポートしよう。エンジンはゴキゲンだ。ターボとは思えないほどよく回る。昔のフェラーリF40のターボを思い出したが、それよりも低中速は使いやすい。サーキットの走りは比較するものがないが、絶対スピード感でいえばかなり速い。先代のポルシェGT3並のレベルかもしれない。
しかしフロントエンジンのFRスポーツなので、リヤのトラクションが肝となる。2速ギアを使うタイトターンではテールスライドが派手に発生。どんなにうまく走ってもドリフトしてしまう。だが、真横にリヤが流れるのかというとそうではない。確実にM3を前に押している。この感覚は先代のM3ではなかったものだ。
3速で走る中速コーナーはスロットルを戻してターンインすると軽くタックインする。そのままスロットルを踏み込んでリヤを安定させると最高の走りが楽しめる。ステアリングよりもスロットルをコントロールすることで姿勢を制御できるのだ。だから120km/h前後のコーナーリングが得意だと思った。一箇所だけ4速で飛び込むコーナーがあるが、このスピードではタックインは少ない。電子制御LSDが絶妙にターンインとターンアウトの性能をスピードごとに上手に制御しているのだ。
サーキットを何ラップも連続して楽しめるM3は久しぶりだ。最近はエンジンパワーに物を言わせていた直線番長的な性格だったが、新型M3は決してライトウェイトとはいえないが、往年のカミソリのような切れ味が戻ってきたのである。オプションのカーボンセラミックブレーキはよく利くしフェードもしにくい。サーキット派には嬉しいアイテムだ。サーキットで腕を磨くために、スマートフォンに「BMW Mラップタイマー」アプリをインストールできる。車速や前後・左右のG、エンジン回転数や使用したギアなどが克明に記録され、ドライバーが自分で走りをチェックできる。
ターボのM3という意味では往年の2002を思い出すが、最新のテクノロジーで開発されたM3はサーキットの狼であることは間違いないだろう。
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