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新種のレンジローバー、イヴォークの実力は?

史上もっとも小さいレンジローバー

レンジローバーのニューモデル「イヴォーク」がついに市場投入された。来春を予定する日本発売に先立ち、英国のリバプールで開催された試乗会に参加する機会を得たのだが、実車を前にして直感的に浮かんだのは「世界一スタイリッシュなSUV」という言葉だった。

クラムシェルボンネットやフローティングルーフといったレンジローバー伝統のデザインによってブランドアイデンティティをアピールしつつ、クサビ型のウインドウグラフィックが、スポーティ、パーソナル、モダンといった新しい価値観を雄弁に物語る。

ボディタイプは3ドアと5ドアの2種類。落ち着き感のある5ドアも十分にスタイリッシュだが、低いルーフとスッキリしたサイドビューをもつ3ドアのデザインは惚れ惚れするほど完璧な仕上がり。日本には両タイプとも導入される予定だが、どのぐらいの販売比率になるのか興味深いところだ。僕は8:2ぐらいで5ドアが多くなると予想しているが、3シリーズクーペ、A5、Eクラスクーペといったプレミアムクーペの顧客を取り込むことに成功すれば、7:3ぐらいになる可能性も十分あると思う。また、イヴォークにはそれだけのポテンシャルを感じる。

直接的なライバルとなるのは当然ながらアウディQ5、BMW X3、メルセデス・ベンツGLKといったSUVだが、メーカーはCクラス、3シリーズ、A4のセダン&ステーションワゴンも仮想ライバルとして視野に入れている。加えてクーペ市場まで意識しているのだから、このイヴォーク、尖っているようで実はかなりワイドレンジ狙いのクルマでもあるわけだ。

一般的に、対象を広げると焦点がぼけて商品の個性が薄まると言われているが、イヴォークの場合、そうはなっていないのが面白い。個性が薄いどころか、間違いなく超個性的である。なぜか? それは、イヴォークが広い範囲を対象にしているように見えて、実はある一点にピタリと焦点を当てているからに他ならない。セダンとかステーションワゴンとかクーペとかSUVといった旧来的なジャンル分けではなく、「今風のカッコいいクルマに乗りたい」というマインドをもつユーザーにアピールすることを究極の目標に定め、そこに向かってまっしぐらに突き進んだクルマ作りをしている。この部分こそが、イヴォークが世に問うコアバリューなのである。

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