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Eクラス海外試乗後編 ベンツ安全技術、詳解

メルセデス新型Eクラスに見る先進技術・1

■ 衝突安全・1

先代のEクラスW211はバイワイヤーブレーキSBCを実用化して安全技術で世界をリードしたと思われたが、不運にもそのSBCが大リコールとなりメルセデスの安全に対する信頼は失墜してしまった。しかし、Aクラスのリコールの時と同じように、その失敗から多くのことを学ぶところはメルセデスらしい。

今回は新型Eクラスを開発するにあたり、同じ失敗を繰りかえさないためになんと地球を900周(約3600万キロ)も走破したという。こうして新型Eクラスには新しいハイテク技術が満載されることになったのだ。新しいEクラスにはどんな先進的な技術が採用されたのだろうか。メルセデスらしいと思われる技術を紹介しよう。

【リバーシブル・ベルトテンショナー】

クルマに乗りこみシートベルトを装着する。クルマが走り出す前に電動モーターを持つシートベルト・テンショナーが作動しベルトの初期の緩みを取り除いてくれる。走り出す前にベルトが動くので驚く人がいるかもしれないが、こうした地味な技術は実際の事故でとても有効だ。現実的にはシートベルトがきついとベルトをはずしてしまう人がいるし、逆に緩いと衝突時の乗員保護性能は低下する。

そこで自動的に「たるみ」を適度に取り除く装置が考案されたのだ。このシステムはすべてのEクラスに標準装備される。もちろんプリテンショナー・ベルトとベルトフォース・リミッターが装備され、エアバッグと連係しながら最適な乗員拘束力を発揮する。運転席と助手席にはベルト警告装置が備わり、後席乗員のベルトの有無もインパネに表示される。

【9個のエアバッグが標準】

最近のクルマはエアバッグの数が増えてきている。新型Eクラスでは様々な事故を想定し日本と欧州には9個のエアバッグが備わる(アメリカ仕様は側面衝突の時に腰を保護するサイド・エアバッグが加わるので11個)。

運転席のエアバッグは2段階で展開するスマート・エアバッグが採用され小柄な乗員でもエアバッグの加害性が少ない。さらに運転席にはニー・エアバッグが標準装備となった。これは衝突時に下肢の損傷を低減するだけではなく膝を押さえることで頭部と胸部の衝撃を低減できる。高齢者などでは胸の肋骨強度が弱く、ベルトとエアバッグだけでは衝撃が強すぎるケースもあるのでニー・エアバッグは効果的。さらに衝突時にシートの下側に潜り込んでしまう「サブマリン現象」も防ぐことができるという。

さて、もっとも重傷・死亡事故になりやすい側面衝突にはAピラーからCピラーまでカバーするウインドーエアバッグ(カーテン式)が備わり、さらに前席と後席の乗員用に胸を保護するエアバッグが用意されている。助手席にはオートチャイルドシート検知との組み合わせでチャイルドシートを取り付けると、もし乗員が着席していない場合には自動的に助手席エアバッグがキャンセルされる機能が追加された。

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