Eクラス海外試乗後編 ベンツ安全技術、詳解
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:メルセデス・ベンツ日本
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:メルセデス・ベンツ日本
世界で初めて横滑り装置を実用化したのはメルセデスだが、そのESPの普及で単独のタイヤスリップ事故は激減している。ESP(一般名ESC)に含まれるABSやトラクション・コントロール(ASR)はすでにスタンダードな技術となったが、予防安全技術の要であるESPを中心にメルセデスの予防安全技術はますます進化している。
日本では「プリクラッシュ・セイフティ」と呼ばれているシステムであり、今後の安全技術の重要なコンセプトである。分かりやすく説明すると衝突安全と予防安全をブリッジする考え方だ。危険な挙動をコンピュータが感知すると「プリ・セイフ」が作動し、衝突に備えることができる。例えばアンダー・オーバーステアが発生しタイヤが滑るとESPが作動。さらに時速140Km/h以上の速度で急激なステアリング操作を繰りかえすと「プリ・セイフ」が作動する。実際に「プリ・セイフ」が作動すると、シートベルトが巻き上がり、衝突に最適な位置に助手席のシートバックが自動的に移動し、サイドウインドーとサンルーフが自動的に閉まり、衝突に備える措置が講じられる。こうした措置は衝突リスクがなくなると元の位置に戻る。まさに衝突に備える技術としてメルセデスの安全性のコア技術となっている。
今回のEクラスには前方の障害物を認識するミリ波レーダーが備わり、クルーズ・コントロール機能を拡張しながら、衝突を自動的に回避し、衝突速度を自動的に低減する(被害低減)「ディストロニック・プラス」が実用化された。ミリ波レーダーを使うEクラスの「プリ・セイフ」にはコースアウト時や対向車との衝突を検知する機能も追加されている。
今回実用化された安全技術でもっとも興味深いのはミリ波レーダーを使った様々なアシスト技術だ。従来のクルーズ・コントロール(ディストロニック・プラス)を使い前方を走るクルマとの距離を維持する。ミリ波は77GHz(遠方用)と24GHz(近距離用)の周波数を使う。利用できる速度域は0~200Km/hで遠方は200m先のクルマまで認識できるようになった。自動的に車間距離を維持してくれるので高速走行では燃費も向上する。
前車に追従して走行中、急激に前のクルマがスピードを低下させ衝突する危険性が高まったと仮定しよう。24GHzの近距離用ミリ波を駆使し、コンピューターは衝突時刻を計算する。
衝突2.6秒手前では「アラームとアイコン」で衝突警報を発し、「ブレーキアシスト・プラス」が作動する。この「ブレーキアシスト・プラス」は急ブレーキを使いやすくするためのもので、レスポンスのよいブースター特性に切り替わる。
衝突1.6秒手前では最大ブレーキ力の40%で自動ブレーキが介入する。この時アラームが3回鳴り響く。
衝突0.6秒手前では最大ブレーキを自動的に介入させ衝突速度を減じるのだ。これは「プリセイフ・ブレーキ」と呼ばれるもので、約30%も衝突速度を減らすことができる。衝突エネルギー換算ではなんと約50%減だ。メルセデスは被害低減に効果的な「プリセイフ・ブレーキ」を衝突エネルギーを減じる効果が大きいことから「エレクトロニック・クランプル」(電子的エネルギー吸収)と位置づけている。
こんなにすばらしい技術が欧米で実用化されているが、日本ではまだ24GHzのミリ波が認可されていない。もともとこの周波数帯は電波望遠鏡の周波数帯と干渉するという理由で電波を管理する総務省が認可していないのだ。しかし今年は法律も改正されて、秋から認可される可能性が高いという。したがって2010年モデルのS・CL・Eクラスには採用されるかもしれない。しかし、この24GHzは欧米でも利用期間が限定されているので、日本メーカーは使っていない。24GHzの代用として日本メーカーと同じようにカメラ技術が有力であるとメルセデスのエンジニアも考えている。いずれにしてもどんな認識技術を使うかはコストと規制との関係で決まるだろうが、事故予防にはこれほど重要な技術はない。早期に技術基盤を確立し、コストダウンを進めながら、世界的に普及を急ぎたいと思った。
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