ホンダらしい走り!新型インサイト【後編】
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:中野 英幸、ホンダ技研工業
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:中野 英幸、ホンダ技研工業
インサイトはFFレイアウトを採用するが、後席下のガソリンタンクとリアサスの間に、ハイブリッド用のバッテリーを置く。このため前後重量配分は59:41と、FF車としては珍しく後ろよりの重量配分となる。例えばFRでは50:50が理想だが、前輪を駆動するFFでは、あまり後ろに重量が配分されるとフロントの接地が薄くなり、トラクションが十分に得られない懸念が生まれる。しかしインサイトはこの辺りにも当然気を遣っており、その上でFFとしては珍しいこの重量配分を活かした走りを構築している。
ワインディングやクローズドコースにおけるインサイトのコーナリングは、その特長をよく表している。リアにバッテリーを積むためか、ワインディングなどではFF特有の前のめりの姿勢になりずらく、4輪をしっかりと接地させて安定感のあるコーナリングを実現する。操舵からロールが生まれリアに踏ん張りが感じられる段になると、バッテリーの重みでリアにもピタッと路面に吸いつく安定感が生まれる。
しかも、そこから先が面白い。これはクローズドコースで試したのだが、コーナリング時に速い操舵を与えると、リアのバッテリーの重さによってスライドが始まる。つまりタックインを使うと、FFとは思えないファイティングポーズをとることも可能、というわけだ。しかも感心するのはその後の身のこなし。リアのスライドは、その後しっかりと収まるのだ。
こうしたハンドリングは日本車では皆無で、スズキのスイフトが当てはまるくらい。輸入車ではフィアットのグランデプントなどがそう。つまり、ドライバーの意志をしっかりと反映する“攻めのハンドリング”が構築されている、というわけだ。そしてこの部分はプリウスとは極めて対照的な部分。こうした限界域での素晴らしい身のこなしにこそ、街中での“なんか分からないけど不思議と楽しい”に繋がっているとも思える。
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