【フルモデルチェンジ“9年周期”は本当か】トヨタの大胆戦略が波紋。SDV時代は“買い替え”が消え、クルマの価値が根底から変わる
掲載 carview! 文:山本 晋也 50
掲載 carview! 文:山本 晋也 50
SDVでは新機能を追加することも可能となります。
ただし、ここで認識しておくべきなのは、新機能に対応した物理スイッチを追加することは非現実的ということです。スイッチ増設には整備工場などに持ち込む手間もかかりますし、そもそも場所の確保を含めて困難です。
その対策としてはセンターディスプレイに新機能のメニューを追加する、音声コマンドとして追加するといったことが考えられます。
空調などの機能をディスプレイで操作する方式について批判的なユーザーも少なくありませんが、SDV時代には多くの物理スイッチはなくなり、ディスプレイのタッチもしくは音声で機能を利用することになるでしょう。精度の高い音声コントロールが主流になれば、ユーザビリティも高まることが期待できます。
必要な機能を課金して追加したユーザーは、せっかく仕上げた自分仕様の愛車を頻繁には乗り換えなくなるのではないでしょうか。
冒頭で日経新聞の報道について触れましたが、本格的なSDVの時代が来れば、ユーザーは一台のクルマを長く乗ることになり、自ずとモデルサイクルは伸びていくはずです。
また、スマートフォンに有料アプリを入れるようにユーザーと機能が紐づけられるとすれば、ユーザーはクルマを乗り換えるとしても、同様の機能が継続使用できる同一ブランドのモデルを求めることになるでしょう。SDVによって自動車産業は、自社でユーザーを囲い込めるようなビジネスモデルに変革していくのです。
はたして、SDV時代の勝者はどのブランドになるのでしょうか。携帯電話がガラケーからスマートフォンに変わったときのような大きな地殻変動があるかもしれません。
(終わり)
(写真:編集部、トヨタ、BMW)
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