P ZERO×ハイパワーSUV、相性はいかに？

懐の深い母のような存在

不肖小沢の見立てもそうだ。実際にP ZERO ランフラットを履いたX6に乗ってみたが、まず驚くのはステアリングの切れの爽やかさでありスッキリ感。この手のSUVは、いくらスポーティだと言ってもある一定のゴム感というか、タイヤのデカさからくるニブさを感じるものだがそれがない。

しかも手応えがスピードを上げるとスッとそれに応じて軽くなる。路面の状況を見事に伝えているのだ。これは、クルマの性能にも寄るが、妙にタイヤに引きずられることがない。昔の大型SUVは、ステアリングを切ってもタイヤがすぐに車体の動きに追いつかないような感覚だったり、逆にタイヤの行く方向に合わせてステアリングが戻ってしまうようなことがあったがそれはない。

さらに驚くのは乗り心地の良さで、ニブさが無い代わりに硬すぎるかと思いきや、路面の継ぎ目の凹凸も見事に振動をカット。高速道路に乗っても大袈裟なロードノイズは感じない。あれだけトレッドのブロックが大きいのに意外なほどだ。

高速コーナリングもシャープで安定している。見事にX6の矛盾する性能を、引き出しているのだ。唯一、個人的にはもうちょっとステアリングに手応えが合っても良いと思ったが、それは快適性重視だからだろう。

とにもかくにも最近のクルマは、速いとか大きいなど一定方向だけでなく、すべてを両立させる方向に進化しており、ある意味非常にワガママ。それをすべて受け止め余すことなく実力を発揮させる。今の高性能タイヤとは、そういう懐の深い母のような存在なのかもしれない。