日産SUVにイッキ乗り、いま選ぶべき1台を探す
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
価格は大型ガラスルーフが標準で付く上級グレードの「20G」で231万円。デュアリスのコストパフォーマンスは悪くない。しかし問題は、35万7000円のサイドブラインドモニター付き純正ナビゲーションシステムを是が非でも装着したくなる点だ。最近は安いPNDや、それこそスマートフォンのナビを使う人も増えているが、デュアリスの場合、高価なライン装着純正ナビを装着しないと左フロントフェンダー部に死角防止のためのサイドアンダーミラーが付いてしまうからだ。
補助ミラーが付いていると、せっかくの都会的デザインが台無し、とまでは言わないまでも、魅力が低下するのは避けられない。しかし、だからといってそのために35万7000円もの出費を強いるのはいささか不親切というものだろう。純正ナビとは独立したサイドブラインドモニターの設定を強く希望したい。
欧州市場を意識していることもあり、ソフトパッドをダッシュボードやドアトリムに使うなど、インテリアの質感(触感)には一定の配慮をしている。ルーフも不織布ではなく清潔感のあるニット。デザイン的に攻めている印象はないけれど、機能面を含めてきちんと仕上げている。後席スペースとラゲッジスペースはエクストレイルと比べればやや狭めだが、標準的な体格の大人4人とそれぞれの荷物を積み込むのに不足はない。
2リッター直4とCVTの組み合わせは、必要にして十分な動力性能を示す。燃費を意識したセッティングのCVTは積極的にエンジン回転数を低く抑えるが、アクセルを踏み込めば、自然なリズムでスルスルと速度を上げていく。
初期のデュアリス(イギリス生産)のフットワークは、まるでかつてのフランス車のような猫足が印象的だったが、九州工場製に切り替わってからは、残念ながらごく普通の足になってしまった。とはいえ今回試乗したモデルは、日本生産に切り替わった直後のモデルと比べると足の動きに若干しなやかさが戻ってきた。しかし、それでも初期モデルのような快感を覚えるほどのレベルには達していない。ハンドリングは落ち着き感を重視した味付け。外観から受けるイメージからすると、もう少し軽快感を演出してもいいかもしれない。
デュアリスのコンセプトは「SUVの力強さとハッチバックの軽快感の融合」。全長4315mmというコンパクトな全長や、土の臭いをほぼ完璧に封じ込めたデザインは、都会の風景によく似合う。実際、キャシュカイというネーミングで販売されているヨーロッパでは、VWゴルフやルノー・メガーヌといったFF2ボックスカーと競合することが多く、FFモデルが販売の7割を占めるという。“SUVのある生活”を肩肘張らずに楽しみたいなら要検討モデルである。
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