日産SUVにイッキ乗り、いま選ぶべき1台を探す
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
コンパクトさや価格の安さもさることながら、何はともあれジューク最大の特徴はデザインだ。すごく攻撃的で個性的で、これほど強烈なインパクトをもつクルマなどなかなかいない。ヘッドライトに見える部分が実はフォグ&ウインカーで、フォグランプに見える丸目が実はヘッドランプというだまし絵のような処理もユニークだ。
インテリアの質感は決して高くない。樹脂パーツは叩くとコンコンという安っぽい音がするハードプラスティック製。ルーフライニングも安手の不織布だ。けれど、それが気にならないのがジュークの面白さ。モーターサイクルをイメージした立体的なメーターパネルやフロアコンソールはとても楽しげだし、エアコンモードとドライブモードを切り替えて使う液晶パネルのアイディアもいい。才能豊かなデザイナーが、会社のお偉いさんの口出しを上手にかわしながら、最高に楽しんでデザインしたのが伝わってくる。
試乗したのは1.6リッター直噴ターボを積む「16GT FOUR」。1.6リッター直噴ターボとCVTの組み合わせは実に痛快で、アクセルを踏み込むと瞬時に太いトルクが立ち上がり、どんな状況からでも狙い通りの加速を演じる。発進時などは、アクセルを少し多めに踏むと、予想以上に加速する傾向も。慣れるまではグワッという加速に驚かされるかもしれない。オールモード4×4をFFモードにしておくと、ドライ路面でも全開加速時には前輪が暴れることもある。通常時でも4WDで走るのがオススメだ。ターボには26万円安いFFモデルもあるが、190ps/240Nmというパワースペックを安定して路面に伝えるには4WDが必須と報告しておこう。
シャシー性能は高い。ステアリングフィールは、戻りトルクがやや人工的だが、EPSにありがちなセンター付近のフリクションをしっかり抑え込んでいるため扱いやすさは上々。必用以上にクイック感を強調していないのもいい。4本のタイヤで路面をしっかりと捕まえつつ、トルクベクタリング効果とあいまって前後輪をきれいにバランスさせながらコーナーを回り込んでいく。乗り味の大きな影響を与えるステアリングの支持剛性やシートの取り付け剛性、ブレーキのタッチを含め、かなり本格的に走りを突き詰めた“玄人好み”のフットワークである。ワインディングロードに持ち込んでも、しっかりと走り、しっかりと楽しませてくれる。それでいて乗り心地が悪くないのも嬉しい部分だ。
安いグレードもそれなりに魅力的だが、16GT FOURは日産のエンジニアが一球入魂でつくった本格的スポーツモデルだ。デザインだけでなく、走りにこだわったSUV選びをする人にも、自信をもってオススメしたい。
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