997型・最終モデル登場 直噴×ツインクラッチ!
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:ポルシェジャパン
掲載 更新 carview! 文:清水 和夫/写真:ポルシェジャパン
ポルシェはグループBの962、グループCの956でPDKを使った実績があるが、市販車としては今回の911シリーズが初めてとなる。二つのクラッチをスイッチングすることで駆動力が途切れないこのシステムは、速さとエコを両立するのに都合がよい。
PDKは湿式ツインクラッチと7速ギアを持つが、サーキットでは6速ギアまでが現実的だ。つまり7速ギアはかなりのオーバードライブな燃費ギアなのだ。最高速は3.6リッターのカレラでも300Km/h近いが、その時のギアはあくまでも6速だという。
アイドル時は僅かだがクリープをつけているのでちょっとした坂道は後ずさりしないですむ。発進はすごくスムースで、まるで私のクラッチワークのようなスムースな変速だ。スポーツカー系ツインクラッチで先行する日産GT-Rは、低速のドライバビリティにやや難があるが、ポルシェはパーキングスピード領域でも使いやすい。ギクシャクしないで走れるところがポルシェの偉大さだ。それも当然。現在の911シリーズでは全世界で40%もATが販売されているというのだ。日本では90%近いだろう。つまりポルシェが開発する2ペダルはフェラーリのようなダイナミクス性能だけではなく、街中での使い勝手も重要なニーズなのだ。PDKをティプトロに代わる2ペダルとして位置づけている。
ハイスピードの走りはすばらしい。PDKを選んでさらに「PASM(可変ダンパー)」と「スポーツクロノ+」をチョイスするとローンチコントロールも可能だ。このホットなモデルは変速スピードがすばらしく速い。しかも高速からドカンと急ブレーキをかけたときギアが一段づつ落ちていては間に合わないので、数段のギアを飛ばすことも可能。自動モードならこの飛ばしが使える。
一気に6速から2速に落ちるわけだが、実際は、まず奇数ギアが5速にダウンして、その次の偶数のギアで4速ではなく2速を選択するという仕組み。ブレーキの減速とエンジンスピードを考えながらエンジン回転が同期した瞬間にクラッチを切り替える。変速ショックがほとんどなく、 ひょっとするとドライバーは2速ギアにダウンしたことさえ実感できないかもしれない。スポーツクロノではシフトアップを素早くするスポーツモードが用意される。従来のティプトロに比べると60%もシフトアップが速くなっている。
VWやアウディのDSGとはひと味違ったポルシェのPDKはスポーツカーと高級車にも使えるポテンシャルを感じることができた。
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