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新型Sクラスセダンはベタ褒めせざるを得ない出来栄えだった

とろけそうなほどの愉悦に浸れる「S560」

続いてステアリングを握った「S560 4MATIC」も、とろけそうなほどの愉悦に浸らせてくれた。試乗車は、旋回中にロールと逆方向に車体をチルトさせるダイナミックカーブ機能付きのMBC(マジック・ボディ・コントロール)付きだったこともあり、普段の乗り心地はストローク感たっぷりできわめてソフトなのに、姿勢変化はほとんど感じられないという独特のフィーリングを味わわせてくれた。「魔法のじゅうたんに乗っているかのよう」なんてベタ過ぎる常套句を使いたくなるぐらいの、極上の快適性だ。ちなみにタイヤはランフラットではなかった。日本仕様も同様になる模様である。

最高出力469psの、こちらもV型8気筒4.0Lツインターボエンジンは、良くも悪くも存在感を強く主張してきたりはせず、粛々と仕事を進める。回せば快音が響き、パワフルだが、ユーザーの多くはそれを体験することもないに違いない。9速ATのマッチングも完璧。とにかく滑らかな走りに終始する。

最先端の装備の数々、そして独特のおもてなしの感覚で、それこそSクラスの新しいユーザー層へとしっかりアピールする一方で、圧倒的なライドコンフォート、そして威厳たっぷりに進化した内外装デザインによって、これまで培ってきた絶対的な地位も決して手放さない。

フェイスリフトながら、いや優れた土台をベースに確かな進化を実現できるフェイスリフトだからこその、メルセデス・ベンツの気合い、あるいは凄味のようなものを感じさせた、新しいSクラスである。貴方がどちらのユーザー像に近かろうと、必ずや深い満足をもたらしてくれるだろう。そして、きっと新たな歓びに触れることにすらなるはず。ベタ褒めになってしまうが、実際にさすがと唸らされるばかりのテストドライブだったのである。

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