【覚えてますか?】荷室に“専用バイク”を搭載する「シティ」はホンダの天才的発想から生まれたコンパクトカー
掲載 carview! 文:横田 宏近 20
掲載 carview! 文:横田 宏近 20
もちろん、ホンダはシティの走りの側面だけに焦点を当てたわけではなかった。コンパクトカーならではの楽しさにもスポットを当てた。
その回答が、1984年7月に誕生した「シティ カブリオレ」である。トップの設計は、あの名匠ピンファリーナが担当。ガラス製のリアウィンドウを持ち、幌の開閉は手動式ながら簡単だった。安全性の配慮からロールバーを持つものの、開放感は抜群。フル4シーターの実用性とともに、その完成度は圧倒的だった。
スタイリングはターボIIと同様のブリスターフェンダーを持つが、パワーユニットは自然吸気の1.2L(67ps)。5速MTとオーバードライブ付きATが選べた。話題は12色も設定されたボディカラー。こだわりのカブリオレだからこそ、多彩な色を用意する。この姿勢はホンダの真骨頂ともいえた。
シティ カブリオレの、ちょっぴり高めのドライビングポジションからの眺めは爽快だった。心地よい風を感じるクルージングは最高の贅沢ともいえた。カブリオレは現在でも魅力的な存在である。
現在のホンダはすっかり真面目に変身した。F1へのパワーユニット供給など、まだまだチャレンジングな姿勢は残っているものの、クルマは高効率と実用性を追求したモデルばかり。初代シティのようなクラスレスで提案型のモデルは見られなくなった。
あえて挑戦的な取り組みのモデルを探すと、軽のBEVモデル「N-VAN e:」だろう。N-VAN e:は「e:CONTAINER=移動蓄電コンテナ」をコンセプトに掲げ、「環境に優しい/どこでも給電/自在に使える」を徹底的に追求。本来はラストワンマイル配送を支える商用プロツールだが、遊びのホビーカーとしても魅力的に仕上げられている。
一充電当たりのEV走行距離は245kmと街乗り中心であれば十分。室内は多彩にアレンジでき、圧倒的に広い。しかもなにより走りが楽しいのだ。個人的には「日本で最も使い勝手に優れ、心躍るクルマ」だと考えている。ホンダは、やはりクルマ好きを魅了するメーカーである。
<おわり>
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