新型スバルWRX S4試乗。2.4Lエンジンはレスポンス抜群。可変ダンパー搭載の「STI Sport R」がオススメ
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:小林 俊樹 206
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:小林 俊樹 206
まず最初にステアリングを握ったのは「S4 GT-H」だ。天候こそ晴れているものの、前日の雨の影響か路面はウエット。ここでGT-Hは、新生WRXのキャラクターをかなり明確にアピールしてくれた。
走り出して最初に感じたのは、応答性の高さだった。コーナーに向けてステアリングを切っていくと新型WRX S4のノーズは、濡れた路面をものともせずにレスポンスよくコーナーの内側へと入っていく。手のひらに伝わるインフォメーションは、このあと乗った旧型と比べて格段に高く、ようやく2ピニオン式となった電動パワーステアリングの効果がはっきりと現れていた。
ただし、その動きはウエット路面に対してややシャープであり、積極的に荷重移動させてターンインをするとリアはためらわずにスーッとスライドした。もちろんこの動きに対しては、VSC(横滑り防止装置)が素早く作動して挙動を安定させてくれる。
また、セダン形状となったスバル・グローバル・プラットフォームベースのボディは、フルインナーフレーム構造の採用などで剛性が大幅に引き上げられ、挙動を正確にドライバーへと伝えてくれる。
だがそれにしても、もう少し穏やかな挙動の方が、筆者は4WDのメリットを活かせると感じた。4WDは反射的にカウンターを切ってしまうと、修正蛇方向にグリップを高めてしまうからさらに挙動が乱れる。ここでリアが穏やかに追従していけば、ドライバーはこれをアクセルで安定させる余裕が生まれると思う。そのサスペンションはかなりドライに振った剛性であり、ジオメトリーも回頭性重視で、スバルもちょっと気合いが入りすぎているのかな? と感じた。
しかし、そんな違和感をかなり払拭してくれたのが「STI Sport R」だった。最も大きな違いは可変ダンパーの有無で、コンフォートモードで走らせると、この路面でも(ハイグリップタイヤになっている分は相殺されてしまうのだが)リアタイヤを路面に押しつけてくれた。ちなみにSTI Sport Rのダンパーはコンフォート側がGT-Hよりもソフトな減衰力となっており、ハード側はそれより高い数値になっているという。つまり、ファミリーユースでも可変ダンパーを備えたSTI Sport Rがお勧めグレードということになる。
今回のような路面状況でもSTI Sport Rは抜群の走りを見せた。ワゴンボディに対し、足周りの剛性をソフト方向にバランスさせているのだろうか、ハンドリングがしっとりと落ち着いているのだ。
当日はアウト/インラップ含め4周という少ない周回数だったが、いきなりスポーツモードから走らせても、可変ダンパーと後述する2.4リッターエンジンに組み合わされたS4と共通のVTD・AWDが抜群の制御で路面を捉えてくれた。ドライ路面ではS4に敵わないかもしれないが、全ての動きに連続性があり、これぞ悪条件に強いスバルのAWDという出来映えだった。2リッターのSTI Sportを買ったオーナーは、このパフォーマンスを知ったらきっと悔しがるに違いない。
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