アウディA8・速攻試乗 超絶クオリティに驚愕！

フラッグシップに込めた情熱

販売台数、シェアともに毎年確実に上昇させ、ますます波に乗っているアウディではあるが、その躍進は「A3」や「A4」など比較的手頃な価格帯のモデルに支えられているのが現状だ。実はヨーロッパでも、「A6」まではライバルを凌駕するほどの成功を収めているものの、ハイエンドではまだ挑戦者の立場に居る。しかし真の意味でプレミアムブランド足りうるためには、ここでの飛躍は不可欠だ。

そんな背景からすれば、いよいよ導入される新型『A8』が、どれだけ重大な役割を担っているかは改めて言うまでもないだろう。あとに控える「A7スポーツバック」、そして新型「A6」の導入に弾みをつけるためにも、大きなインパクトをもたらすことが求められているのは間違いない。

実際、そんな気合いはプロダクトに熱く反映されている。アウディの特徴であり精神である最新のテクノロジーが、そこには余すことなく盛り込まれているのである。

たとえばアウディがASFと呼ぶアルミボディは更に進化。衝突安全性向上のためBピラーに熱間成型スチールを採用したハイブリッド構造とされ、構造もより洗練されている。フルタイム4WDのクワトロもA4などと同じようにフロントアクスルの位置を前に出して前後重量配分を最適化するとともに、軽量化や振動低減などによって走行クオリティの向上が図られた。更にエンジンは新ラインナップとなりATも進化。各種安全システムを統合制御するアウディプレセンスの搭載、手書き文字入力を可能にしたMMIタッチの新採用など、とにかくありとあらゆる箇所に新機軸が盛り込まれているのである。

まさに「技術による先進」を謳うブランドのフラッグシップに相応しい内容だが、当然ながらスペックだけではクルマの価値は量れない。しかしながら実際にステアリングを握ってみて、事前に抱いた期待は裏切られなかった、いや大きく凌駕されていたと感じたのだった。