極上の移動空間。レクサスLMが時代の変化に合わせショーファーカーを再定義する
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:トヨタ自動車 15
掲載 carview! 文:塩見 智/写真:トヨタ自動車 15
今年4月の上海モーターショーでデビューした「ラグジュアリームーバー」こと新型レクサス「LM」。先代は中国市場を中心に販売されていたが、新型は今秋、日本市場でも販売される。トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」は生産量に対し受注が集中し、オーダーしても見通しが立たないほど待たされる現状が続いているが、LMも少なくとも短期的には似たような状況になるのは間違いない。
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LMのサイズは全長5125mm、全幅1890mm、全高1955mm、ホイールベース3000mm。車台は同じ「GA-K」を用いるが、デザインの違いにより“アルヴェル”よりも130mm長く、40mm幅広い。ホイールベースは3000mmで共通。
今回我々がテストしたのは前後席の間にパーテーションがあり、後席は左右独立の2座のみの4人乗り仕様で、パワートレーンは2.4L直4ターボエンジン+ハイブリッドだ。
レクサス「RX」にも搭載されるモーター駆動式の4WD「DIRECT4」が実装される500hで、ほかに2.5L直4エンジン+ハイブリッドのバージョン(FWD/4WD)も設定されるようだが、最初に2.4Lターボハイブリッドのみが発売されるようだ。またパーテーションのない3列シートの6/7人乗り仕様もどこかで追加されるはず。
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なにはともあれ人に運転を任せ、立派な左右独立式の後席の左側に座った。スライドドアを開けると傘が立てかけられていて、格納式ステップを含め2段登ってフロアへ。まるで玄関だ。
通常のミニバンなら4/5人でシェアする空間を2人で使うのだから贅沢そのもの。3列シートのミニバンの2列目と3列目の中間に設置された後席は座面、背もたれともにサイズがたっぷりとしていて、両側にアームレストがある。その片側の先端に脱着可能な液晶コントローラーがあり、リクライニングをはじめほとんどの操作が可能。シートはフルフラットに近い角度まで倒すことができる。
パーテーションの上部は昇降式のスモークガラスがあり、必要に応じて前後席を隔離することができる。閉めると前席でそこそこ大声でしゃべっても後席には聞こえなかった。その下に48インチのワイドディスプレイが配置され、ビジネスやエンターテインメントに活用できる。パーテーション下部中央には冷蔵庫、その左右に靴収納を想定した蓋付きの物入れがある。
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走り始めると前が大きな壁になっていて飛行機や新幹線の一番前の席のようでやや戸惑うが、やがて慣れる。見るからに衝撃吸収力に優れたクッション量をもつシートは想像よりもしっかりした面圧があり、全体で身体を支えてくれる。2種類の衝撃吸収材を部位によって使い分けて停車時にも走行時にも快適な座り心地を目指したという。
ドライブモードに「リアコンフォート」というモードがある。とにかく後席の乗員が快適になるようなサス設定となるモードで、具体的には、減衰力を下げる一方で加減速時の姿勢変化を減らすようなセッティングになっているという。
実際ノーマルモードと比較すると、前後の姿勢変化が抑制されているだけでなく、ロールスピードもゆっくりになっているように感じる。職業ドライバーの運転と組み合わせることで、極上の移動空間となるだろう。
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運転してみると、前席の快適性にもかなり気を使っていることがわかる。シートサイズは後席ほどではないにせよ豊かで、レザーの質感も高い。
上半身をホールドすることを優先するのではなく、揺れに応じて上半身がある程度自由に動くような形状とすることで、頭部の揺れの低減と視線の安定を目指したという。少し前に他社のシート開発陣からも同じ考えを聞いたので、シート設計における最新のコンセプトなのかもしれない。
車重は2トンを大きく超えていることが予想されるが、 RXの場合、システム出力371psを誇るユニットであり(LMの車重やパワースペックは未公表)、クローズドコースでスタート/ストップを繰り返す今回の環境では一切痛痒を感じなかった。運転中にアクセルペダルを深く踏み込むと「クォーン」という心地よい音とともに力強い加速を味わうことができたので、もう少し速度域の高い領域でも活発に走らせることもできるだろう。
否定するつもりはなかったが、面白半分に「LMにその走りは必要ですか?」とエンジニアに尋ねると、「ショーファーがいち早くエグゼクティブを迎えに行かなければならないときもありますし(笑)」と面白半分に答えてくれた。
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もう少し若いクルマ好きだった頃、ミニバンやSUVだらけの日本の路上を恥ずかしく思っていた時期もあったが、あのサイズ、カタチのクルマの実用性の高さは否定しようがなく、売れて当然だよなと思い始めるようになった。
また背の高いクルマの実用域での運動性能の向上も著しく、今やワインディングでフラフラするモデルのほうが少ない。平均速度の低い日本ではもはや何の不満もないレベルにある。
家族にとって使いやすいミニバンやSUVは、それらしく仕立ててればエグゼクティブにとっても使いやすいはず。気づけば永遠にクルマ先進国だと思っていた欧州各国でも(CO2削減のため)昔ほどぶっ飛ばさなくなり、ミニバンやSUVが増えてきた。レクサスがミニバンに力を入れても、センチュリーがSUVになっても全然不思議はないのだ。
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