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ホンダ クラリティPHEVは今出すべき高級セダンだったのか?

総合的に静かだと感じるクルマを作る視点が欠けている

そんななか、最も微妙なのが静粛性だ。EV走行距離が強みであり、そのEV走行時の移動品質にこそクラリティPHEVの真骨頂があると勝手に期待したのだが、音としては抑えられているが静かとは言えないのだ。低速時はロードノイズ、高速走行時は風切り音があり、他の音が静かな分だけその音が目立つ。また荒れたザラメ路面だとフロア振動の収束に時間が掛かるのも気になった。

もちろん高速道路の追い越し車線をエンジンの振動や音もなく滑らかに走る感覚は病みつきになりそうだし、それを実質70km近い航続距離で味わえるのは立派な魅力だ。しかし、今後の次世代車競争において“ジャパンパワー”の源はモノづくりや、モノを通して感じる体験の質の高さであると考えたとき、ホンダには今までのように(開発陣が縦割りで)要素別に静粛性を追求するだけではなく、総合的に音を判断しながらクルマ全体としての体感的な静粛性を極め、乗り味の質を仕上げるようなステージまで進んでほしいのだ。

別の角度から言えば、いま他がPHEVをラインナップしているなかで、ホンダのPHEVここにあり! を表現するには、これまで指摘した部分も克服した上で、さらに今のホンダらしさを見せてほしかった。さらに言えば、この物足りなさが、588万円というプライスが少々高額に感じてしまう理由にもなっている。

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