ポルシェ911の歴史とは異端のリアエンジンの弱点を克服することにある
掲載 更新 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office
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サーキットでの印象は開発者の狙い通りダイナミック性能の向上が顕著だ。スロットルペダルを深く踏み込めばストレートの高速域における追い越し加速も胸のすく思いで、250km/hは瞬く間、300km/h超えも数kmの助走路があれば間違いないだろう。
もちろん8速PDKによってシフトも一層スムーズになっている。実はこの8速ギアボックスは7速に比べると20kgも重いのだが、全長は逆に5cmほど短い。ポルシェは将来的にこのスペースに電気モーターを置いてハイブリッド化を狙っている。ただし電池の重量が嵩む「918スパイダー」のようなP-HEVにするつもりはなさそうだ。開発担当者は「ホンダ NSX」のシステムは悪くないと告白していた。また48V昇圧に関しても電動チャージャーやキャタライザー(排ガス浄化装置)の余熱など、様々な利点を模索中であるとの説明を受けた。
装着タイヤは前245/35ZR20、後305/30ZR21のミックスタイプで、トレッドの拡大によってコーナーでは一層安定しており、より素早くアペックスに到達、脱出することができた。それは同時に6%クイックになったステアリングのおかげでもある。もちろんパワーオーバーステアに持ち込むこともできるが、後輪は高いスピードでもグリップを失わず終始安定しており、あまり意味はない。
サーキットでのスポーツ走行後は一般道路で艤装関係のチェックとインプレッションに移る。リトラクタブルドアハンドルは賛否両論だが、私はやはり柔らかな曲面を手に感じるクラシックなドアハンドルの復活を望みたい。コックピットは初代911から993まで続いた水平基調のデザインが復活している一方で、大事なインターフェースであるドアハンドルだけ近未来化しているのは首尾一貫していないからだ。
またリアガラス下の縦グリルとハイマウントストップランプはグリルのバーが左右それぞれ9本、真ん中のブレーキランプは2本で「911」を示唆しているが、ここまでやる意味があるかどうかは疑問だ。それ以外はこのニュー911はどこから見てもいつもの911である。
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