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フェラーリ599HGTE、じゃじゃ馬かと思いきや…

路面側がタイヤに張りつく

あまりの躾の良さにいささか拍子抜けしたしたが、実はこのクルマの本領が発揮されるのはその先の領域である。ステアリングホイール上のスイッチで走行モードが選択できるのはノーマルの「599」と同じだが、「599HGTE」では「スポーツ」「レース」といったモードを選択した場合に可変ダンパーがノーマルよりスポーティな制御になる。それは、エンジン回転数が5000rpm以上でアクセル開度が80%以上のときに切り替わる「スーパーファスト」モードでも同じだ。

身体がスーパースポーツカーの走りに馴染んできたことを確認してから、フラットアウトさせる。スペインの荒れた高速道路でスロットルペダルを踏み込んでも、列車が線路の上を走り抜けるかのようにビタッと路面を捉えている。その感触たるや、タイヤが路面を捕らえるのではなく、まるで路面側がタイヤに張りついてきてしまうのではないかと感じるほどだ。

かなりの速度域からアクセルを踏み込んでも、欲しいだけの加速が得られる。最高出力620ps、最大トルク62.0kg-mもの巨大な出力を剛性感の高いボディで受け止めて、しっかりと路面に伝えていく手際の良さはスポーツカーのお手本のような挙動だ。

ステアリングは非常にクイックでステアリングホイールを握る親指にほんの少し力を入れただけで車線変更ができてしまう。だからといってむやみに暴れるわけではなく、ステアリングからのインフォメーションが非常に豊かでクルマの挙動が手に取るようにわかる。

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