新世代ジャガー、ダウンサイジングで走りは？

XJ 2.0 ラグジュアリー

燃費も価格も隔世の感あり…XJ

4気筒XJのパフォーマンスがそう悲観的なものでないのは、走る前から想像がついていた。ご存知のとおり現行XJのボディ、オールアルミモノコック構造ゆえにサイズのわりに軽量に仕上がっている。具体的にはLuxuryの車重は1780kgで、同じ2リッター直4ターボをひと回り小さいボディに積むXF 2.0 Luxuryより、たった20kg重いにすぎない。

走り出してみると、その想像は的中していた。まず乗り心地にXFではやや希薄だった猫脚感があって、やっぱりジャガーはこうでなくちゃ、という実感を与えてくれるのが好ましい。しかもそれに加えて、この2リッター直4ターボ、エンジンのサウンドや回転のスムーズさに関しても、XJのパワーユニットに相応しいレベルの洗練を備えている。

注目のパフォーマンスに関しても、2リッター直4ターボと8段ATは、XJの全長5mを超えるアルミボディを爽快に加速させて、パワー不足な印象をまったく感じさせない。それだけでなく、車重はたった20kgだけれどXFより重いにもかかわらず、加速はむしろXFより軽快に感じられたのだが、それはメーカー公表の動力性能数値からも立証された。0-100km/h加速はXFの7.9秒に対して、XJは7.5秒とされているのである。しかも日本のJC08燃費もXFの9.1km/Lに対して9.3km/Lと、XJの方がいい。

その後、5リッターV8スーパーチャージドを積むXJ Supersportのロングホイールベース仕様に乗った。これは、踏めば背中をバックレストに押しつける加速を振る舞ってくれる古典的なハイパワーサルーンで、その力強さはそれなりに魅力的ではある。けれども個人的な感想をいえば、小さなエンジンで大柄なボディを不足なくしかも心地好く走らせるLuxuryの方が、走りの軽快感と知的な存在感の両面で、僕の気持ちに鮮烈にフィットした。しかもこのベーシックなXJ、プライスは900万円とV6搭載の先代ベーシックモデルより110万円安く、現行のV8最上級モデルと比べると、なんと半額以下にすぎないのである。