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ビアンテ 小沢コージ試乗 マツダ発の背高ミニバン

どこからどうみても超ファミリー向け

というわけで気になるのは、ビアンテが王道ミニバンから“どこをどう外してきてる”ってことだが一番分かりやすいのはボディサイズだ。狙いは国内最大のホンダ・ステップワゴンやトヨタ・ヴォクシー&ノアがいる5ナンバーボディのハイトールミニバン市場だが、見た目は明らかに他車よりふくよか。

なぜならボディサイズは、全長4715mm×全幅1770mm×全高1835mmと一台だけ3ナンバー枠で、特に横幅はぶっちぎりで広い。よってデザインの自由度が高く、かつクラストップの室内空間を持つようになったわけだが、なぜこの寸法を採用できたのかというといくつかの理由がある。

まずは後発でブランド力もこれからのマツダがトヨタ、ホンダのマネをしてもかないっこないという冷静な判断と、もう一つは前出プレマシーの反省だ。実はプレマシーでユーザーアンケートを採った時、興味深い話だが「マツダはファミリー向けミニバンを作ってない」という意見が多かったと言う。

開発側としては「えっ、なんだそれは? プレマシーは最大7人乗りで十分家族向けじゃないか」という気持ちだったが、分析してわかった。一般のお客様は、分かりやすいボックス型、あるいはハイトール型ミニバンでないと“ファミリー向け”だと認識しないのだ。マツダらしいスポーティミニバンを作ろうとするあまり、全高を抑えたプレマシーはそれが逆にアダとなってしまったわけだ。

実際、ビアンテに乗ると最初に気づくのは今どき珍しいくらいのルーフの高さで、実は現行オデッセイにせよ、低床プラットフォームで低ルーフのミニバンが多い中、室内に座って上に手を伸ばしてもなかなか天井に付かないくらいに高い。

そのほか気づくのはシートアレンジメントの豊富さで、2列目シートはMPV同様、レバー1つで左右に動いてベンチシートにもキャプテンシートにもなるし、さらに前後スライド量が753mmとやたら長いので一番後ろにすると、ちゃぶ台を置けるくらいに広い足元空間が生まれる。また3列目シートを跳ね上げ収納式にしなかったこともあって、シートクッションは2列目に負けないくらいに大きく厚みがあるし、それでいて今どき珍しく3列フルフラットにもなる。

ついでに言うとスポーティなプレマシーの特性そのままに、床が低い分、乗り降りもしやすく、まさしくどっからどうみてもファミリー向けなのだ。もちろんその分、駐車場が狭い都会のユーザーや小型車になれたユーザーには向かないが、そこはハッキリと割り切ったってことでしょう。

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