三菱の4WD車を北海道で乗り比べ。その実力は?
掲載 更新 carview! 文:サトー タケシ/写真:三菱自動車
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ご存じのように、ある程度回転が上がってから有効なトルクを生む内燃機関と異なり、モーターは電流が流れた瞬間に最大トルクを発生することができる。したがって、コンピュータの指令でトルクを伝える場合、内燃機関はモーターに比べればワンテンポ遅れることになる。逆に言えば、モーターは指令と同時にトルクを伝えることができる。
したがって、前後輪のトルク配分を変える場合、「滑りを感知」→「後輪にトルクを伝える」という伝言ゲームが、瞬時に行われることになる。加えて、このツインモーター4WD(S-AWC)では、左右の駆動配分をブレーキでコントロールする。
右コーナーに侵入すると仮定すると、右前輪に制動力を発生させて旋回しやすくすると同時に、後輪へのトルク配分を増やす。コーナリングを終えたら、前輪へのトルク配分を増やしてコーナリング中と逆のモーメントを発生させ、車両の動きを安定させる。この一連の動きがシームレスに行われるのが、ツインモーター4WDの特徴だ。
また、たとえば車体の左半分が乾燥路面、右半分がアイスバーンのような状態で発進すると、当然ながら右側タイヤがスリップする。この時に瞬時に左右前輪の駆動力をコントロールするAYCが作動することで、スリップを減らすことができる。
総じて、モーターを用いた4WDシステムは、動きが上質になるという印象を得た。今後、四輪を独立してモーターでコントロールするようになれば、いままでにない運動性能を備えたモデルができるのではないか。三菱自動車が、「モーター駆動による、プレミアムな4WDメーカー」になる可能性を感じた。
最後になったけれど、パジェロに搭載されているスーパーセレクト4WD-IIにふれておきたい。前後33:67のトルク配分をベースにした4WDシステムは、テストコースでFR的な素性の良いコーナリングを見せてくれた。また、今回のテストコースでは一部を垣間見るに過ぎなかったけれど、センターデフ直結機構による悪路走破性能は驚くほどのものだ。三菱の4WD技術が何十年もかけて綿々と受け継がれ、進化していることを、パジェロは教えてくれた。
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