13代目スカイライン、新しい伝説の始まりか
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:篠原 晃一
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3.5L V6に1モーター2クラッチ式のハイブリッドシステムを組み合わせたパワートレーンは、フーガハイブリッドと基本的には同じものだが、制御の見直しなどにより大幅に洗練度を高めている。具体的には、クラッチを断続するときに生じていたショックが見事に封じ込められ、注意深く観察するか、モニターに表示されている走行モードを見なければ、EV走行→ハイブリッド走行→EV走行といった走行モード切り替えに気付かないほどだ。
パワフルな3.5L V6に出力68psのモーターを組み合わせ、システム最高出力364psを誇るハイブリッドシステムは素晴らしい加速性能を生みだしている。0-100km/h加速4.9秒という数字はR34型GT-Rに匹敵する。これで不足を感じるならよほどのスピード狂だ。それでいて燃費は18.4km/L(JC08)に達するのだから、動力性能と燃費のバランスポイントは特筆に値する。街中や高速道路をゆったり流しているときの静粛性やスムースさにも高得点が付く。燃費は2.5L 4気筒にモーターを組み合わせたレクサスIS300hに及ばないものの、速さ、上質感ともにスカイラインの圧勝だ。
歩行者認識機能がないことを除けば、世界でもっとも進んだ安全装備を備えているのも新型スカイラインの魅力だ。なかでもミリ波を先行車の車体下を通すというウルトラCにより、2台前のクルマまで検知する世界初の前方衝突予測警報には驚いた。当然ながら、2台前を見ていれば追突のリスクはさらに低減する。もちろん、相対速度60km/hまでなら衝突を回避するエマージェンシーブレーキも装備する。
世界初のステアバイワイヤ、圧倒的な動力性能と優れた燃費を両立したハイブリッドシステム、世界最先端の安全デバイスなど、新型スカイラインには、「技術の日産」という、最近忘れかけていた言葉を思い起こさせる要素がぎっちり詰まっている。加えて、ガッチリしたボディや、初モノであるステアバイワイヤをここまで違和感なく仕上げてきたチューニングの妙といったアナログ的作り込みにも日産の底力を感じた。それこそ「スカイラインの伝統」である走りへの強いこだわりだ。
絶対的には決して安くはないが、実力や装備内容を考えれば価格的にもかなり魅力がある。こんな力の入ったクルマがたったの月間200台とは弱気すぎるのでは? と思っていたら、発売日にはすでに2年分に近い4200台の受注が入っているという。新しいスカイライン伝説は、この13代目から始まるのかもしれない。
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