カローラクロスは意外やハイブリッドよりガソリン車がおススメ!? 隙のない企画でヒットは確実か
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:市 健治 96
掲載 更新 carview! 文:塩見 智/写真:市 健治 96
HVはおなじみのTHSの挙動だ。トヨタの新世代の車台であるTNGAと組み合わせられることで音も振動もうまく抑えられていて、一般的なペースを維持する限り、走行中に頻繁にエンジンオン/オフが繰り返されても気にならない。長年経験することで我々ユーザーに"HVとはこういうもの" という認識がしっかりできているというのもあるだろう。どちらかというと常にザーッと聞こえるロードノイズが気になった。車体はスポーツやツーリングよりも大きいが、車両重量はそれらに対し20kg増しの1410kg(試乗したZグレードの場合)に抑えられているので、スポーティではないもののパワー不足でもない。
ICEは今や少数派といってもよい自然吸気エンジン。活発な挙動を求めるなら積極的にアクセルペダルを深く踏み込んでいく必要があるが、踏み込めば実用上十分なパワーを発揮する。ストレスなく回るので、CVTではあるもののちょっとした爽快感を味わえる。HVと比較して最高出力は18ps多く、車両重量は60kg軽い1350kgなので、理論上はICEのほうが速いかもしれない。体感的には似たようなものだった。渋滞でちょこまかと動く時には静かだしレスポンシブなのでHVのほうがありがたい。これまでHVとICEが設定されているモデルの場合、総合的にHVのほうが魅力的と感じることが多かったが、このクルマについてはICEのほうがいいなと思えた。なんとなくとしか言いようがないのだが。
カローラ クロスはスポーツよりずっと、セダン、ツーリングよりもさらにソフトな乗り心地にしつけられている。クルマのキャラクターに合っているように思え、気に入った。他のカローラとの最大の違いはリアサスがダブルウィッシュボーンではなくトーションビームという点だ。スペースを確保しやすく、軽くでき(20~30kgの軽量化となるそう)、コストを抑えられるといった複数の理由でそうしたという。ダブルウィッシュボーンを含む独立懸架のマルチリンクのほうが立派でハンドリングや乗り心地に優れ、車軸懸架のトーションビームは安価だがそれなりというのが一般論として存在するが、やりようによってはトーションビームでも十分な路面追従性を見せ、快適な乗り心地も確保できるというのは、現行のPSA各モデルやVWゴルフなど、よくできた欧州のFWD車を運転すればわかる。
新開発されたカローラ クロスのリアのトーションビームサスもなかなか優秀だ。ブッシュ(衝撃を吸収する各部のゴム)で乗り心地を追求し、ジオメトリー(設計)でハンドリングをカバーしたとのことで、その説明通り十分に快適な乗り心地を味わうことができた。もちろん大きな入力を受けるとバタつくこともあるが、それまで乗員に不快な思いをさせずに収束させるには相応のお代をいただくことになり、価格の魅力を失ってしまうことになる。
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