【日本人は知らない】超高級車に超実用車! 成功が見えてきた新顔「アメリカンEV」の世界を紹介
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 31
掲載 carview! 文:木村 好宏/写真:Kimura Office 31
アメリカ人の好きなピックアップをEV化したリヴィアン・オートモティブは2009年の創立で西海岸に本社を置き、イリノイ州の工場で生産を行っている。スケートボードプラットフォーム(モーターやバッテリーを平たい形状に搭載したEVならではのプラットフォーム)を使用したピックアップ「R1T」の3サイズは5.46×2.0×1.82mでホイルベースは3.35mもある。
テスト車のグレードはスタンダード仕様の「デュアルモーターAWD」でシステム出力は533馬力、827Nmを発生。性能は0-100km/h加速は4.6秒、最高速度は185km/h。駆動用モーターはドイツの「ボッシュ」が開発した製品で、リヴィアンが自身でライセンス生産を行っている。
スタンダード仕様に搭載されているサムスン製バッテリーは105kWhで400Vのアーキテクチャーをもっている。航続距離は270マイル(約435km)と発表されている。
フロイントデザインは遠くから見てもすぐにリヴィアンと分かるユニークな表情で愛嬌がある。一方、インテリアの質感は平凡で8000ドル(約1200万円)のクルマとは思えない。フルデジタルのインストルメントも取り立てて個性的ではなく、まるで既製品のようだ。
サスペンションは前がダブルウィッシュボーン、後はマルチリンク。前後の重量配分が51対49のシャーシはスケートボード構造による重心の低さもあって意外なほどにメリハリの効いたスポーティなハンドリングを見せた。
ただし路面からのステアリングフィードバックはやや希薄で、アクティブなドライブが楽しめないのが残念だ。おそらく自重が3.8トンもあるために上屋の動きにタイムラグがあるためかも知れない。
当然ながら加速は鋭くハイウェイのランプからの進入はその重量にも関わらずおよそ65~70マイル/時の速い流れに入り込むことができた。残念なのはこうしたセッションでも前述したようにクルマを操っている感覚が薄い事で、EVに共通な感動的なものがない。
一方ADASの「ギア・ガード(商品名)」は11基のカメラが周辺をセンシングしており、ハイウェイアシスト、レーンチェンジアシストが標準装備だった。
ピックアップはアメリカ、特に私の住む中西部では使い倒す「道具」で、リヴィアンは都会育ちのようで全体的にちょっと線が細い。各部に用意されたEVならではのスペースを有効に利用したトランクなどもアイデアとしては悪くはないが、果たして購入の決定打となるかは疑問だ。
プロモーションビデオではラフロード走行でのタフさが強調されていたが、今回はトライしていないので実力派は分からない。大きな問題点は製品ではなく経営にある。現在リビアンの販売台数はまだ採算分岐点まで行っていないのだ。しかしAmazonがBEVデリバリーバンを同社に発注した事で(2030年までに10万台)経営は上向きになるかも知れない。
(終わり)
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