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清水和夫、RS6をテスト アウディらしさは健在か

580psの加速力×1000psのブレーキ

一夜明け、早速RS6の試乗だ。2人で1台があてがわれるので、半分は助手席で恐い思いをすることになる(ごめんなさい、コボちゃん)。ステアリングを自分で握るまでじっと我慢。でも、一緒に組んだコボちゃん(Kツラさん)のドライビングはとてもスムース。道と交通の流れを読むのも巧い。これなら安心。

そして、いよいよステアリングを握る。スロットルをひと踏みすると異次元の加速感に襲われる。テールパイプからたっぷりと無味無臭のCO2を排出する。地球にゴメン! と心で叫び、スロットルを思いっきり踏みつけた。

グォ~と唸るV10ターボは“毒特”、いや“独特”のエキゾーストサウンドだ。S6やS8に搭載される自然吸気のV10は上品でかん高いエキゾーストなので、V10ターボとは似て非なるエンジンだ。曲がりくねったワインディングではスピードがついつい出すぎてしまい、タイトコーナー攻めに重量が重いパワフルなRS6は根を上げそうになる。だが、次の瞬間にドライバーの脳天にアドレナリンが登りつめ、全身に快感が訪れる。「もっと、もっと」と自分の心の中に棲むスピードへの欲望が目覚めるのだ。理性でコントロールするのに大変なエネルギーを使うことになる。

ベースとなるA6とRS6はクワトロという武器こそ共通だが、ステアリングフィールはずっしりと重くチューニングされている。低速からトルクが盛り上がるので加速力は力強く、エンジンが6500回転でリミッターに当たってしまう、その手前でシフトアップしても、エンジンの勢いが止まらないのだ。それほどV10ターボの回転上昇力は大きい。さらにこれだけの加速力を止めるには1000馬力級のブレーキが不可欠だ。ポルシェが開発したカーボンコンポジットブレーキの巨大なローターがフロントホイールに隠されているが、このブレーキがないと、RS6は安心して走ることができないだろう。580馬力の加速力、1000馬力のブレーキ、そしてクワトロが大きな価値ではないだろうか。

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