ポルシェ「911」の変革は水冷化のみに在らず。「964」はフルタイム4WDで武装した革命的モデルだった

ポルシェ911 964

先代から圧倒的な性能アップを果たす

カレラ4の日本試乗会は谷田部のテストコースで開催された。そのフィールドでカレラ4は卓越した走りを見せつけた。

従来の911（タイプ930）は、220km/hプラスαの領域で加速が鈍り、スタビリティ面でもやや気を遣う必要があった。しかしカレラ4はまったく違った。

250km/hを大きく超える領域まで加速の伸びは鈍らない。しかもスタビリティは模範的で、飛ばすほど4輪が沈み込むような安定感を見せつけた。

スピードメーターが265km/hを過ぎるとさすがに速度の伸びは鈍ったが、最終的には速度計で285km/hをマーク。その領域でもいっさいの不安はなかった。

圧倒的な性能アップは、フルタイム4WDシステムだけでなく、エンジン、サスペンション、空力面のリファインなど総合的なポテンシャルアップがもたらしたものであることは間違いなかった。ポルシェはタイプ964により、911の世界を一段と高い領域に引き上げたのだ。

一方、伝統のRR方式を採るカレラ2は、マニュアル操作も可能なスポーツAT「ティプトロニック」を新設定。スーパースポーツの世界にアクティブ＆イージーなドライブの新世界をもたらした。タイプ964以降、再びポルシェはスポーツカーの主導権をしっかりと握った。