トヨタの未来を占う新型カローラ。公道試乗会の評価はほぼ絶賛か
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:望月 浩彦 8
掲載 更新 carview! 文:島下 泰久/写真:望月 浩彦 8
インテリアも最新のモードで描き出されている。ダッシュボードは天地方向に薄く、中央に大型ディスプレイが配置される。ステアリング、ペダル類の位置関係も良好で、適切なドライビングポジションを取れるのが嬉しい。
シートの出来も良い。ぴたりと身体を位置決め出来て、その後も微調整を必要としないのだ。特に“Z”のスポーツシートは、決して窮屈ではないのにホールド性も上々の優れものである。リアシートはバックレストがやや立ち気味だが、それでもルーフに頭が触れることはなく、足元スペースも十分で、大人2名がしっかり座れる。
ラゲッジスペースは容量352L。VWゴルフが380L、そしてポロでも351Lと考えれば小さめである。ゴルフバッグも飲み込むのは2セットのみだ。後席バックレストを倒せば容量を稼げるが、床面をフラットにしたいならば、オプションのアジャスタブルデッキボードを追加する必要がある。この辺りは割り切りがハッキリしている。
パワートレインは1.2Lターボエンジンに、CVTとiMTと呼ばれる発進アシストやブリッピング機能の付いた6速MTの2種類のギアボックス、そしてプリウスなどと共通のハイブリッドの計3タイプが用意されている。4WDはターボのみの設定だ。そのうち今回は1.2Lターボ+CVTの「G」に16インチタイヤを履かせた仕様と、ハイブリッドの「G“Z”」に18インチタイヤ、そしてAVSと呼ばれる電子制御ダンパーを組み合わせた仕様の2モデル、いずれもFF車を試すことができた。
おそらく、その走りこそが新型カローラ スポーツの最大のサプライズだろう。きっと多くの人に「本当にこれがカローラ?」と仰天させる、質高い走りが実現されているからだ。
ボディの剛性感はきわめて高く、サスペンションはストローク感たっぷりに路面を捉える。数十メートルも走らないうちに、これは違うと感じるはずだ。実はコンベンショナルな仕様のダンパーは新開発で、ストロークスピードのきわめて低い領域からしっかり減衰力を発生しつつ、速い領域では柔らかく受け止める、相反する特性を見事に両立させている。路面の細かな凸凹をきれいに均して走るその感触は、“大衆車”のイメージを完全に覆す。
ステアリングフィールも、とても饒舌だ。C-HRに対してシャフト径が拡大され、制御も改められたことで、クルマとちゃんと対話できる手応えが得られている。肝心のレスポンスも正確で、しなやかにロールしながら気持ち良く向きが変わっていく。しかもリアはしっかり落ち着いているから、安心感も絶大なのだ。
最高出力116psということでさほど期待していなかった動力性能も、思ったより悪くない。何より発進の瞬間からトルクの出方がスムーズで、巧みな制御のおかげもありCVTのネガを感じさせることなく、伸びやかに速度を高めていくのが良い。レヴリミットを500rpm引き上げたこともあり、いざという時の力感も思ったよりは確かで、ワインディングロードでも十分に楽しめた。マニュアルモードの仮想10段変速は、あまりメリットを感じられる機会が無かったが…。
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