【覚えてますか?】ハイパワーで高速道路をぶっ飛ばす! 3代目Z31フェアレディZはアメリカ市場向けの豪快クルーザーだった
掲載 carview! 文:横田 宏近 14
掲載 carview! 文:横田 宏近 14
デビューしたZ31型は、3.0Lと2.0Lの2種類のV6ターボエンジンを搭載していた。3.0L版の最高出力は230ps。当時日本最強スペックで、トヨタ「セリカXX」や、「ソアラ」の2.8L(175ps)を大きく凌駕していた。2.0L版も170psと、スポーツカーらしい走りを生むのに十分な実力を秘めていた。
「300ZX」とネーミングされた3.0Lの走りは鮮烈だった。テストコースで右足を深く踏み込むと、180km/hの速度リミッターに瞬く間に到達。リミッターを外すと、楽々と230km/hオーバーの世界へとドライバーを誘った。0‐400m加速も15秒ほどで走り切った。
前後長の短いパワーユニットの利点で、操縦性もレベルアップしていた。先代までの強めのアンダーステアが影を潜め、基本的にコントローラブルな弱アンダーステアに調律されていた。
高速道路でもワインディングロードでも、300ZXは無敵の存在だった。しかし、エンジンパワーに対し足回りのセッティングは、いささかソフトだったことも確かだ。スポーツ能力とともに、快適性も重視したのがZ31型300ZXの持ち味だったのである。
それはフェアレディZの主戦場である、アメリカ市場の要求でもあった。日本でもフェアレディZに求められるキャラクターはワインディングキラーではなく、高速道路でのハイスピードクルーザーだった。圧倒的なパワーの余裕を武器に、快適かつ豪快な走りの世界を提供するスポーツカー、それがZ31型フェアレディZに求められたキャラクターだった。
走りは確実に新世代へと進化していた。象徴的なセミリトラクタブル式のマスクがハイウェイで後方に迫ると、ほとんどのクルマは道を譲った。それはマスクの印象が独特だったからだけではない。パフォーマンスの差が圧倒的なことを、多くのドライバーが知っていたからだ。フェアレディZのドライバーはハイウェイの高速クルーズを好み、そのパフォーマンスの高さを誇示した。
(次のページに続く)
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