【まさかの展開】ガラパゴス扱いだった軽が欧州標準に? EU「Eカー」構想が映し出す中国EVの脅威と日本の軽への期待
掲載 carview! 文:大音 安弘 35
掲載 carview! 文:大音 安弘 35
もちろん、欧州にも「Aセグメント」と呼ばれるエントリークラスのコンパクトカーは存在する。ここに属するのは、日本でもお馴染みのフィアット「500」などの車種だ。その下のクラスには、シティコミューターと呼ばれる、街乗り中心の短距離移動向けのクルマもある。
その一例が、かつてのスマートだ。ドイツのメルセデス・ベンツが手掛けたスマートは、室内空間こそ限定されていたが、小型車に迫る高い完成度を誇っていた。一方で開発・製造コストがかさみ、ビジネス面では苦戦した。
そのスマートも今では中国メーカーと組み、中国製BEVブランドとして再出発している。現行モデルは日本には導入されておらず、動向を知らない人も多いかもしれない。
つまり、シティコミューター以上Aセグメント以下のサイズ感や機能性を備えたクルマ、かつてフィアットやルノーなど欧州メーカーが送り出していた、手頃な大衆車の復活を目指すのが「Eカー」と捉えてよいだろう。
EUがEカーに興味を示した背景には、掲げてきた厳しい環境政策が、自らの主要産業のひとつである自動車産業に大きな負担を強いている現実がある。ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー事情や経済環境が一変し、「理想だけでは飯が食えない」状況に直面しているのだ。
事実、ピュアエンジン車(ICE)の新車販売を2035年に実質的に禁止すると掲げ、BEVを中心とした環境対応車へのシフトを進めてきたものの、EU最大の自動車市場であるドイツでは、2023年末にBEVの補助金を停止した結果、販売台数が激減した。
欧州自動車メーカー各社は、電動化の軸足をBEV(バッテリーEV)だけでなくHEV(ハイブリッド)やPHEV(プラグインハイブリッド)にも広げることで活路を見出そうとしており、日本のアプローチを追いかけるような構図にもなっている。
しかしEU全体の経済が落ち込むなかでは、より安価な小型車がなければ販売の回復も、その先の成長も望みにくい。そこで、その活路を日本の軽自動車の仕組みに見出した、と言ってよさそうだ。彼らにとって、安価で燃費の良い軽自動車は金脈のように映ったに違いない。
とはいえ、現状ではEUの安全基準に合致しない軽自動車級のクルマを、そのままのかたちで販売することはできない。そこで新たなカテゴリーを創出しようと、EUへの働きかけを強めているのである。
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