2021年9月10日に北米仕様が発表された新型WRX。日本でもスバルがティザーサイトを公開している。
このWRXで注目されたのがオーバーフェンダーだ。なぜ注目されたのかといえば、WRXに装着されたオーバーフェンダーが、ボディ同色ではない、艶消しブラックの樹脂製フェンダーだったから。
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さっそくネット上では、この樹脂製フェンダーに対して「クロスオーバーSUVのようなフェンダーだ。なぜボディ同色にしないのか」といった意見が多く見受けられた。言われてみれば確かに、XVやアウトバックなどクロスオーバーSUVのような艶消しブラックの樹脂製フェンダーだ。
そこで改めて、これまで登場した、過去の装着車を中心にオーバーフェンダーについて考察してみた。
文/永田恵一
写真/トヨタ、日産、ホンダ、スバル、三菱、ベストカー編集部、ベストカーweb編集部
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■新型WRX北米仕様に装着されたオーバーフェンダーの機能
世界初公開となった新型WRX。エアアウトレット付きの樹脂製大型フェンダーに注目。このエアアウトレットにより、空気がインナーフェンダー内側から外に排出され、前輪タイヤの揚力が減少し、操縦安定性が向上するという
リアのオーバーフェンダー後端にはサイドマーカーが装着されている。リアバンパーの両端のエアダクトはリアタイヤ後方から入った閉じ込められた空気を排出し、車体の揺れを軽減
現行XVのオーバーフェンダー。こちらは大径タイヤをホイール内に収める機能性、クロスオーバー車らしいデザイン性、そして悪路走行によるボディ保護から設定されたものだ
新型WRXに付くオーバーフェンダーは、後述するオーバーフェンダーそもそもの目的である「太いタイヤを全幅内に収めるため」という点以外にも、空力などの機能も備える。
具体的に見ていくと、特にフロントのオーバーフェンダー後半部分にはホイールハウスに入った空気を抜くためのダクトが設けられている。
このダクトはスピードが上がった際のフロントのリフトを抑える効果があると発表されており、新型WRXの高速走行時のスタビリティ(走行安定性)はもともとAWDということもあり、より向上しているに違いない。
ちなみに、こういったフロントフェンダーに入った空気を抜くダクトを持つモデルは新型BRZ&GR86、マイナーチェンジ後のBMW5シリーズなどが代表的だ。
リアのオーバーフェンダーにはエアダクトはなく、赤いサイドマーカーが装着されている。リアのホイールハウスに入った空気はリアバンパー左右のダクトから排出されるようだ。
スバリストならまだ記憶に新しいと思うが、2019年末に北米のみ販売されたSTIコンプリートカー、S209を覚えているだろうか?
エクステリアで目立つのは、フロント、サイド回りでは、片側21mmずつ拡大した専用のワイドフェンダーやフロントフェンダーのエアアウトレットとフロントバンパーサイトのカナード、S209ロゴ入りサイドガーニッシュだ。
ちなみにフロントフロントバンパーのカナードは、ダウンフォースを発生させ、コーナリング時の速度を向上させる役割を持っている。
フロントフェンダー上のエアアウトレットはエンジンルームに溜まった熱を逃がす構造になっており、これも新規開発。
リア回りでは2つのエアアウトレットが開けられたリアバンパーやS209ロゴ入りのドライカーボン製リアスポイラーがスペシャル感を演出している。
特に22B-STIをリスペクトしたようなワイドフェンダーは迫力満点。このフェンダーに収まるのは歴代STIモデルで最大の幅を持つ265/35R19サイズのダンロップ製SP SPORT MAX GT600AとBBS製鍛造19インチアルミホイールだ。
専用タイヤは住友ゴムとゼロから開発したものでかなりの高グリップ性能だという。ちなみにS208が255/35R19、タイプRA-Rが245/40R18、北米仕様のタイプRAが245/35R19。
なお、新型WRXの北米仕様にオーバーフェンダーが付く点に関しては、「新型WRXにクロスオーバーが加わる布石なのでは(レヴォーグのクロスオーバー?)」という意見もあり、これは案外、的を射た想像なのかもしれない。
2019年末に北米のみ限定で209台販売されたS209。価格は6万3995ドルで885ドルのデリバリーチャージがつくので現在の為替(1ドル110円)で換算すると約714万円 。このS209最大の特徴は22B-STIバージョンをリスペクトして装着されたオーバーフェンダー。フロントフェンダーにはダウンフォースを発生させ、コーナリング時の速度を向上させる役割を持つカナードが装着されている
S209は通常のSTIモデルより全幅が片側約21mmずつ1839mmに拡大され、265/35ZR19インチタイヤと9J×19インチの鍛造BBS製ホイールを履くためだ。フロントフェンダー上のエアアウトレットはエンジンルームに溜まった熱を逃がす構造になっており、これも新規開発
リアフェンダー後ろ、リアバンパーサイドにはエアダクトが設置されている。サスペンションは、S208に装着されているビルシュタイン製ダンプマチックIIは装着されておらず、専用開発のビルシュタインダンパー(フロントストラットは倒立式)に専用コイルスプリング、強化ブッシュが装着されている
■オーバーフェンダーとブリスターフェンダーの違いとは?
TE27レビン。搭載されたエンジンはT型エンジンのヘッドをヤマハがDOHC化した2T-G型で、115ps/14.5kgmを発生。5速MTと組み合わされた。オーバーフェンダーはスポーツカーの証だった
ブリスターフェンダーといえば2005年に発売されたR34型スカイラインGT-R VスペックベースのNISMOコンプリートカー、NISMO R34GT-R Z-TUNEも懐かしい。生産台数はわずか20台、価格は1774.5万円
NISMO R34GT-R Z-TUNE。フロントブリスターフェンダー化により、片側15mm拡幅されている。バンパー、ボンネットともにCFRP製で軽量化とともに、フロント周りの整流も図られている
GRヤリスのブリスターフェンダー。リアフェンダーの膨らみが目立つが、恰好だけではなく、デフの存在する4WD化のため、車体後部にカローラ系のCプラットフォームを移植したことによるものだ
オーバーフェンダーと、オーバーフェンダーの一種となるブリスターフェンダーを加える目的はそれぞれ「全幅を拡幅することで太いタイヤを全幅内に収めるため」である。
ではこの2つの違いが何かというと、オーバーフェンダーは「もとのフェンダーに拡幅部分を追加したもの」、ブリスターフェンダーは「ベース車とは別の大型フェンダーが付くもの」という解釈でいいだろう。
1970年に登場した2ドアハードトップのKPGC10型スカイラインGT-R。2ドア化に伴い、リアにはリベット止めのフェンダーが装着され、ハコスカGT-Rのアイコンとなった
1973年1月に発売されたKPGC110型スカイラインGT-Rは同年4月までに合計197台が生産された。ワークスマシンを思わせるリベット止めの前後オーバーフェンダーが装着されていたが、S20エンジンが昭和48年排ガス規制に適合しなかったため、実際にレースに出場することはなかった
日本車で初めて後付けのオーバーフェンダーを装着したのは1970年デビューの日産スカイラインGT-Rだったが、こちらがリアのみに対し、S30型フェアレディZ、240ZGでは前後にブラックのオーバーフェンダーをリベット止めで装着していた。
当時、モータースポーツに参戦していたマシンはほとんどのクルマが後付けのフェンダーを付けており、そうしたことから後付けオーバーフェンダーは高性能の証として憧れの対象となっていたが、暴走行為などの遠因になる、との判断により1974年にいったん禁止された。
ちなみに現在、後付けオーバーフェンダーは、両面テープでは強度が確保できないためリベットまたはビス止めなら許可されている。
ただし、保安基準により拡幅が許可されているのは片側10mm未満。それを超える場合は構造変更申請が必要になる。軽自動車は1480mm以内、小型自動車(5ナンバー)は1700mm以下、普通車(3ナンバー)は2500mm以内という規定があるため、それを超える場合は構造変更申請も必要になってくる。
第二世代のR32、R33、R34GT-R、そしてR35GT-Rももう15年となるが、ブリスターフェンダーを有したスタイリングはいまだに色褪せない
ブリスターフェンダーと聞かれたら、みなさんはどのクルマを思い出すだろうか? 最も多く聞こえてきそうなのはR32、R33、R34GT-Rの第二世代のスカイラインGT-Rと、R35GT-Rのブリスターフェンダーだろうか。
さらにスタリオンGSR-Vやインプレッサ22B-STIバージョン、ランチアデルタHFインテグラーレなど人ぞれぞれ思い出深いブリフェン車が浮かんだことだろう。
最近ではレクサスRC FやGRヤリスやGRスープラなどトヨタ車にブリスターフェンダー車が多い傾向にある。
カーボン製のエンジンフードやブリスターフェンダーがアグレッシブなレクサスRC Fパフォーマンスパッケージ
■オーバーフェンダー車といえばこのクルマ
●初代フェアレディZ 240ZG/オーバーフェンダー
S30型240Z。一見すると、艶消しブラックの樹脂製オーバーフェンダーに見えるがバンパーと同色のグレーのFRP製だ。通称Gノーズ(正式にはエアロダイナノーズ)と共に後期型の特徴となった
印象的なオーバーフェンダー車を挙げていきたいと思う。まずはS30型フェアレディZの240ZG。1969年に登場した初代フェアレディZは「乗用車ベースの手軽なスポーツカー」というコンセプトにより、日本車では珍しい「外国車に影響を与えたモデル」の1台となった。
登場時は2シーターボディ、エンジンはそれぞれ2リッター直6となるL20型と、ハコスカとケンメリという第一世代のスカイラインGT-Rに搭載されたS20型でスタートした初代フェアレディZだったが、年々バリエーションを拡大しており、その1つがアメリカ仕様の2.4リッターL型直6を搭載した240Z系である。
240Z系はベーシックな240Z、充実した装備を持つ240Z-L、スポーティな240ZGの3グレードをラインナップし、240ZGは延長されたGノーズと呼ばれたグランドノーズ&ヘッドライトカバー、ビス止めのFRP製オーバーフェンダーも装着していた。
リベット留めのFRP製オーバーフェンダーが装着。しかしタイヤは純正で余裕でフェンダー内に収まった(サイズは175HR14)。排ガス規制等により動力性能は抑え目で、見た目勝負な時代だった
240ZGはオーバーフェンダーの装着により全幅が標準車の1630mmから60mm拡大されたのに伴い、タイヤは175HR14というワイドかつ当時は貴重品だったラジアルタイヤを履き、コーナリング性能を劇的に向上。
また、240Z系は最高出力こそ150馬力と432系の160馬力に及ばなかったが、走らせればトルクの太さにより432系より扱いやすいうえに速く、レースだけでなくサファリラリーなどの国際ラリーでも大活躍した。
●初代TE27型カローラレビン&スプリンタートレノ/オーバーフェンダー
1972年3月にデビューしたTE27型カローラレビン/スプリンタートレノ。175/70HR13サイズのラジアルタイヤにFRP製(1973年4月以降はスチール製)のオーバーフェンダー(トヨタ車初)を装着
カローラ&スプリンターが2代目モデルだった1972年に、それぞれの2ドアクーペのスポーツモデルとして加わったのが初代カローラレビン&スプリンタートレノである。
初代レビン&トレノはトヨタ初となるオーバーフェンダーが付くエクステリアというカローラ&スプリンターのクーペに対する差別化のほか、「カローラにパワフルなエンジンを積んだら、面白いスポーツモデル、ラリーカーのベースになる」というコンセプトが掲げられていたため、エンジンは当初当時の初代セリカに搭載されていた2T-G型1.6リッターDOHCを搭載。
初代レビン&トレノの2T-Gエンジン搭載車は軽いボディにパワフルなエンジン、クロスレシオ化された5速MTを搭載していたこともあり、じゃじゃ馬的な面白さを持つクルマだったと言われており、未だにファンは多い。
●チェリーX1-R/オーバーフェンダー
チェリーX1-Rは165/70HR13サイズのタイヤとリベット留めのオーバーフェンダーが特徴。エンジンはA12型直4、1171ccOHV、SUキャブ×2を装備し、80ps/9.8kgmを発生
「ついに登場! 地を蹴る純血マシーン、チェリークーペ」というキャッチコピーで1973年3月にデビューしたチェリーX1-R。
その個性的なスタイルもさることながら、4.5J×13+165/70HR13タイヤを収めるために装着されたFRP製のリベット留めオーバーフェンダーにも注目が集まった。
エンジンはA12型1171cc、直4OHVでツインキャブが装着され、80ps/9.8kgmを発生。
●コルトラリーアートバージョンR/オーバーフェンダー
コルトバージョンRは2006年5月に登場。154psを発生する1.5L直列4気筒MIVECターボを搭載し、ゲドラグ製5速MTが組み合わされた。特徴的なワンモーションフォルムは今も十分にイケている
2002年登場のコルトは、「カスタマーフリーチョイス」と呼ばれる内外装のカラーをはじめとした仕様をユーザーが細かく選べる点は目立ったが、それ以外はごく普通のコンパクトカーだった。
そこに2004年のマイナーチェンジで1.5リッターターボを搭載したラリーアートが加わり、ラリーアートは2006年によりスポーツ性を高めたバージョンRに進化した。
バージョンRはCVTのみだったラリーアートに対しゲトラグ製5速MTの設定に加え、まずインタークーラーのエアインテークやブラックアウトされたエアロパーツ、樹脂製オーバーフェンダーの装着によりラリーアートの1680mmから1695mmに拡幅された戦闘的なエクステリアが目を引く。
エンジン自体はラリーアートと同じながら、スポット溶接箇所を増やすことによるボディの補強、タイヤがラリーアートの185/55R15から205/45R16(銘柄はリプレイスのアドバンネオバ)にサイズアップされたことを含めたサスペンションの強化などにより、ランサーエボリューションの弟分的なところを感じるほど、バージョンRはスポーツ性を向上。
また、2008年と2010年にはボディのドア開口部に連続シームレス溶接(スポット溶接を服のボタン止めと例えるなら、連続シームレス溶接はファスナー止め)とすることでボディ剛性をさらに高めたラリーアートバージョンRスペシャルも限定車で発売された。
●メルセデス・ベンツ190E2.5-16VエボリューションII /オーバーフェンダー
直4ユニットはベースユニットをショートストローク・ビッグボア化したことにより公道仕様で235ps(レブリミットは7700rpm)、DTM仕様で373psを発生。ベーシックな190Eベースと思えぬ過激さだ
オーバーフェンダーといえば通称エボII、メルセデス・ベンツ190E2.5-16VエボリューションIIを忘れるわけにはいかない。
1988年からDTMマシンの排気量が2.5Lまでとなり、2.5L、200psの190E 2.5-16が登場。このエボIをベースに、DTMのホモロゲーションモデル、190E2.5-16エボリューションIが1989年にデビュー。
その翌年の1990年にエボリューションIIが500台限定で登場。 このエボリューションIIの導入により、メルセデスは1991年~1992年と連続でマニュファクチャーズタイトルを獲得。
いわばDTMマシンの公道仕様となるが、このエボIIを都内で見た時には、とにもかくにもその過激さに驚いたものだ。
巨大なリアウイングと前後のオーバーフェンダーが大迫力。もちろん伊達ではなく、空力面で威力を発揮、リアは最大で57.1kg、フロントは最大21.2kgのダウンフォースを得た
●ポルシェ993型911GT2/オーバーフェンダー
993型911ターボ(4WD)をベースに徹底した軽量化とRR化が行われ、3.6Lツインターボエンジンは430ps/55.1kgmを発生。ストリート仕様とレース専用仕様とその911EVOモデルが存在し、総生産台数197台のうち、ストリート仕様は57台、EVOが11台とされる
993型911GT2は、そもそもはル・マン24時間レースやFIA GT選手権のGT2クラス参戦のホモロゲーション取得のために製造されたモデル。
1995年に総生産台数197台が生産された993型911GT2には、まるで240ZGやハコスカ、ケンメリGT-Rを想わせるリベット留めのオーバーフェンダーが装着。さらにスピードライン製アルミホイールと大型のリアウイングを備えていた。
駆動方式はRRで、ストリートモデルは、ターボの408psから430psに向上した3.6Lフラット6ツインターボエンジンを搭載、1998年には450psにアップされ、レース仕様のGT2EVOモデルは600psに達した。
つい10年ほどまでは2000万円ほどで購入できたが、数年前のオークションでは1億6500万円という空前絶後の値がついて話題となった。
片側30mmずつワイドされたオーバーフェンダー。強大なパワーを受け止めるべく、可能な限り太いリアタイヤを装着するため、オーバーフェンダーも半端なく巨大だ
■ブリスターフェンダーはいつの時代もカッコいい!
もともとあるフェンダーにワイドタイヤを収めるために装着したオーバーフェンダーに対し、フェンダー自体が膨らんでいるのがブリスターフェンダー。はたしてどんなブリフェンを付けたモデルがあるのか、見ていこう。
●三菱スタリオンGSR-VR/ブリスターフェンダー
1982年に登場した三菱のスペシャルティカー、スタリオンに、対米輸出専用だったブリスターフェンダーを装着した全幅1745mmのワイドボディ、2000GSR-VRが1987年に50台が限定発売。
翌1988年にはこのブリスターフェンダーを備えたワイドボディに2.6リッターエンジンを積んだ2600GSR-VRが登場。
GSR-VRは、標準ボディが全幅1695mmに対し、50mmワイドの1745mmだった。当時は今と違い日本車にとって1700mmの壁はとてつもなく高かった時代だったからそのインパクトは絶大だった。片側25mmとは思えない迫力に目を奪われたものだ。
標準モデルの全幅1695mmに対し、ブリスターフェンダーで全幅1745mmに拡大。50台限定の特別限定車だったが後にカタログモデルとなった
●シティターボII/ブリスターフェンダー
大型のブリスターフェンダーにより、全幅は標準モデル+55mmの1625mmに。このブリフェンは後に登場するカブリオレも採用 。ボンネットのパワーバルジ含めCMの使われたロボットのブルドックを思わせる筋肉質なスタイルが魅力
1981年に今でいうコンパクトカーとして登場した初代シティはトールボーイと呼ばれた全長が短く、全高が高いパッケージング、ユーモラスなエクステリアなどにより、老若男女誰もが乗りたがるクラスレスな魅力を持つモデルとして人気を集めた。
初代シティは人気車になったこともあり、登場後1.2リッターターボやオープンのカブリオレといったバリエーションを追加していくのだが、ターボの進化版として1983年に加わったのがターボIIである。
ターボIIはインタークーラーの追加などにより100馬力から110馬力にパワーアップされ、しなやかなサスペンションセッティングとされたほか、タイヤも165/70HR12から185/60R13にサイズアップされ、それに伴い全幅を1570mmから1625mmに55mm拡大されたブリスターフェンダーとなるワイドボディとなった。
シティターボIIはコンパクトカーのスポーツモデルらしい痛快な走りを楽しめたこともあり、「ブルドッグ」という愛称も付いた。
また、シティターボIIによるワンメイクレースもはじまり、大盛況だったのは良かったのだが、トールボーイだけにレース中転倒することが珍しくなかったのも、シティらしいご愛敬でもあった。
●インプレッサ22B-STIバージョン/ブリスターフェンダー
1998年1月に限定400台、500万円で販売された22B-STIバージョン。商品企画は、1997年当時STI(スバルテクニカインターナショナル)の社長を務めていた故・久世隆一郎さんによる「ファン感謝の意味も込めて、WRCに参戦するWRカーのレプリカをスバリストに届けたい」という強い想いから実現
初代インプレッサWRXはグループA、より改造範囲の広いWRカーとレギュレーションが変わった1990年代のWRCのトップカテゴリーにおいて、1995年~1997年にメーカータイトル三連覇を果たした。
1997年は2ドアクーペベースのWRカーでタイトルを獲得したこともあり、そのロードカー的存在としてSTI初のコンプリートカーとして1998年に登場したのが22B-STIバージョンである。
迫力のあるブリスターフェンダーを樹脂製ではなくオリジナル同様に鉄板をプレスして手作業で溶接フィッティングしており、これによって車幅も当時のWRカー規定の1770mmまで広げられている。そのオーバーフェンダーだけでも4枚の部品単体価格が約85万円。
エンジン以外も駆動系、サスペンション、ブレーキなども抜かりなく強化され、速さだけではないWRカーの雰囲気をいつでも楽しめるコンプリートカーに仕上がっていた。
搭載されたのはEJ22改と呼ばれる2212cc、水平対向4気筒ターボエンジンで、EJ20をベースにボアアップ(ボアを92.0から96.9mm)してSTI専用チューニングが施されている。 当時は自主規制もあり280ps/37.0kgmを発生する
●スカイラインGT-Rオーテックバージョン 40thアニバーサリー/ブリスターフェンダー
スカイライン誕生40周年記念に製作されたスカイラインGT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリー。R33GT-Rをベースに4ドア化。わずか422台のみ製作され、価格は498万5000円
スカイライン誕生40周年を記念して生産されたスカイラインGT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリー。
一見フロントマスク以外に強い迫力は感じないものの、後方に目をやると、R33型スカイラインGT-Rを4ドアセダンにしたモデルであることがわかる。
エクステリアは2ドアのGT-R同様にワイドボディ化され、リアのブリスターフェンダーとドアは専用金型で起こされており、生産は日産自動車の生産ラインで行われた。タイヤも2ドアのGT-R同様の245幅を履く。
インテリアはGT-Rと同じ一体型バケットシートとし、リアシートも2人掛けの乗車定員4名の左右独立のバケット風に変更されている。
なお、GT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリーの価格は498万5000円と2ドアGT-Rの標準車と同等だった。
リアドアとリアフェンダーは専用設計。R33は大きくなったボディが影響し、正当な評価が得られなかった不遇のモデル。しかしベース車の剛性が向上したからこそ、この4ドア版GT-Rも成立した
●パジェロエボリューション/ブリスターフェンダー
エクステリアは冷却効率のため開口部面積を増やし、フォグランプをビルトインした専用大型フロント&リアバンパー、大型のアウトレットを備えた専用オーバーフェンダー、大型インテークを備えた専用アルミボンネットフード、従来オプションのアルミスキッドプレート、専用ホイールやヘッドランプを装備
パジェロエボリューションは、1997年に行われたパリ・ダカールラリーのレギュレーション変更に伴い、そのホモロゲーション取得のために製作されたモデル(限定2500台)。
ラダーフレームを備えた2代目パジェロのショートボディ、メタルトップZR-Sをベースに開発され、大型インテーク付きのアルミエンジンフード、専用アウトレットを備えた大型ブリスターフェンダーを身にまとっていた。
ストロークが約35%長大化した専用の4輪独立懸架サスペンションに加え、世界初のフルタイム・パートタイム複合の4WDシステムであるスーパーセレクト4WD、ヘリカルLSDとビスカスを装着したハイブリッドLSDなど、メカを見てもスーパーSUVと呼べる内容だ。
エンジンは6G74型3.5L、V6DOHCに可変バルブタイミング機構のMIVECを組み合わせ、ベースモデルの245ps/35.0kgmから280ps/35.5kgmまで向上している。
●エスクード特装車V6スペシャル/ブリスターフェンダー
2代目エスクードV62.5Lに、専用ブリスターフェンダーなど専用パーツてんこ盛りで作られた特装車。300台限定で262万8000円也。ベース車がアメリカンな見た目で売れ行きが低迷。販売テコ入れのため、投入されたがどことなくファニーである
1998年、スズキがエスクードV6、2500にブリスターフェンダーやエアロパーツを装着し、発売したエスクードV6スペシャル。
専用エアロバンパーのほか、サイドスカート、リアルーフエンドスポイラー、そしてブリスターフェンダーを装着する凝りよう。メーカー自らがここまでやるのは珍しい。
●マーチボレロA30/ブリスターフェンダー
オーテックジャパン創立30周年を記念して企画された30台限定車。価格は356万4000円で抽選販売となった。ワイドボディに手組みで10ps向上し150psとしたHR16DE型1.6Lエンジンを搭載
2016年にオーテックジャパンの30周年を記念して限定販売されたマーチボレロA30。365万4000円とマーチとしては高額ながら速攻で完売した。
オーテックが手掛けるカタログモデルのボレロをベースに、エンジン換装などオーテックの匠の業が注入されているのだが、圧巻は全幅を1810mmまで拡幅したワイドボディを採用していることだ。ノーマルのマーチに比べて全幅は145mmもワイド!
限定台数はわずか30台なので、街中で見かけることはまずないのが残念。オーテックジャパンの底力を見せつけられた1台といえるだろう。
全幅は標準モデルのマーチの1665mmに対し、1810mmの全幅はド迫力もの。ベース車のマーチボレロに対し、ここまでのギャップあるクルマを仕立てるオーテックのプライドを感じる逸品だ
●GRヤリス/ブリスターフェンダー
日本車でこれほどの迫力のあるブリスターフェンダー車は見たことがない。ヤリスを名乗るとはいえ、モータースポーツ参戦へのトヨタの情熱と凄みをクルマ全体から感じる
昨年モータースポーツ参戦ベース車として登場したGRヤリスは、1.6リッターターボ+4WDというパワートレーンの搭載や3ドアボディということだけでなく、プラットホームはボディ前半がヤリスのTNGA-B、ボディ後半がプリウスなどに使われるTNGA-Cとなる点など、ヤリスとは別のクルマである。
3ドアボディとなるGRヤリスは軽量化のためボンネットだけでなく左右のドアやバックドアもアルミ製となるほか、ルーフも生産性に優れるカーボンとなるほか、全幅もブリスターフェンダーの装着によりヤリスより110mm拡幅された1805mmと、特に後ろから見た姿は迫力満点だ。
また、GRヤリスは1.6リッターターボ+4WD系は圧倒的な速さとコントロール性の高さ、1.5リッターNAエンジン+FFとなるRSは余裕ある車体という日本車有数の運転する楽しさを備えており、欲しいなら即購入を勧めたいモデルに仕上がっている。
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