ボルボV60 T5は装備に価値を見出せるならドイツ御三家より確実に買い得
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:菊池 貴之
今回の試乗でも、高速道に乗ると即座に全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)とレーンキーピングエイド(LKA)を稼働させて「半自動運転」を決め込んだが、こういうときのボルボの走りっぷりにはいつも感心させられる。
たとえば、走行車線で前走車に追いつきかけて、右ウインカーと同時にステアリングに力を込める……という一連の動作で追い越しの意志を示すと、ボルボは車線から半車身も出ないうちから明確に加速しはじめるのだ。これはボルボ独自の「追い越しアシスト機能」なのだが、そこそこ混みあったリアルな交通環境で、ストレスなくACC走行するには、これがバツグンに効果的である。
また、自分より遅いクルマの後方に割り込むと、当然ながら自動的にブレーキがかかるが、そういう場面での減速もボルボはすこぶる滑らか。さらにLKAの介入もいかにも自然。ボルボのACCに慣れてしまうと、表面的には同じ機能をもつクルマでも「なんか運転が下手だなあ」と思ってしまうケースが多い。ACCや半自動運転の分野ではつねに先がけてきたボルボは、その開発の中心を「どこまで自動化するか」から一歩踏み込んだ「いかに快適で疲れにくい半自動運転にするか」という領域に移行しつつあるように思える。
今や軽自動車にもACCがつく時代だ。旧来的な意味での高速性能や操縦安定性ではなく「半自動運転がうまいから」という理由でボルボを選ぶ、あるいはボルボに忠誠を誓うユーザーが、そろそろ出てきても不思議ではない。現時点でのボルボのACCやLKAはそれくらい優秀で心地よい。
今回のV60 T5インスクリプションの本体価格は599万円。その額面だけでは特別に安く感じないが、V60ではこの価格でACCやLKAを含めた先進安全性やLEDヘッドライト、ナッパレザーシート、有名ブランド(=ハーマンカードン)のサウンドシステムなどはすべて標準装備。これらの装備に価値を見出せるなら、ドイツ御三家よりは確実に買い得といっていい。この価格設定の妙もまた、昨今のボルボが人気の理由だろう。
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