「NR-A」をロードスターの決定版グレードに認定したい理由
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:篠原 晃一
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NR-Aの乗り心地は望外によい……いや、ある意味で現行ロードスターでもっとも快適といってもいい。もちろん基本は硬め(といっても、あくまでロードスターの範疇なので、スポーツカーとしてはけっして硬くはない)なのだが、さすがハイグレードなダンパーとボディ剛性のおかげか、荒れた路面で突き上げられたときのハーシュは見事に角が取れて“まろやか”なのである。
また、とにかくアシが滑らかに動くので、姿勢変化も少なくフラットで、直進性も高く、無粋なワンダリングもほとんどない。ポテンザのトップモデルは伝統的に、ハイエンドタイヤとしては乗り心地も直進性も良好なタイプだが、今回履いていたRE-71Rも例外ではないのだろう。
しかも、そのスペックから想像されるとおり、NR-Aの限界は高い。今回はドライのワインディングから完全ウェットのサーキット(袖ヶ浦フォレストレースウェイ)まで走ってみたが、案の定、1.5リッター自然吸気程度のエンジンパワー、そしてアマチュアの私が到達できるスピード域では、まったくもって、なんのハプニングも起こらなかった。
せっかくなので(?)サーキットではけっこう粗雑に扱ってみたものの、よほどのオーバースピードで突っ込んで意図的に振り回さないかぎり、完全ウェットでもグリップを失うケースが皆無に近かったのには驚いた。基本どおりのブレーキングとライン取りをしているだけでは、このコンディションですら、ステアリングを切ったら切っただけ正確に曲がり、スロットルを踏んだら踏んだだけきっちり蹴り出すだけである。
しかも、そこにけっして“乗せられている感”がないのがNR-Aのなんともステキなところだ。挙動はビタッと安定しきったものだが、加減速による荷重移動もこれまで乗ったロードスターのなかで、もっともスムーズ、かつ以心伝心でピタリと決められる。さらにそうした滑らかな荷重移動のおかげで、タイヤが路面を食っている感覚も素晴らしく鮮明だ。
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