新型ケイマン、ベストバイグレードはどれだ?
掲載 更新 carview! 文:岡崎 五朗/写真:小林 俊樹
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冒頭で軽く触れたが、ケイマンの走りは究極的に素晴らしい。走り始めた瞬間から、とにかくすべての部分が精密につくられ、完璧な調和を保っていることが実感できる。スポーツカーであるゆえ、サスペンションは適度に締め上げられている。しかし、フリクションを徹底的に排除したダンパーやサスペンションが生みだす足さばきには「しなやか」という表現すら当てはまるのだ。荒れた路面を走っても、ガツンとかドシンとかビリビリとか、そういった不快な感触は皆無。むしろ路面の荒れを積極的に楽しみたくなるほどの見事な乗り味を示してくれる。
フラット6もまた精密機械のようなフィーリングの持ち主だ。低回転域からトップエンドまで一直線に回りきるが、電気モーターとは違い、アクセルの踏み方や回転数によってさまざまな表情を見せる。吸気音と燃焼音と排気音のアンサンブルはドライバーを決して飽きさせることがない。サウンドを聴いているだけで幸せだなぁと思えるクルマなどなかなかないが、ケイマンのフラット6は間違いなく世界最高峰のエンターテナーである。
ミッドシップというと、その慣性マスの小ささゆえクイックなハンドリングを想像しがちだが、ケイマンのフットワークは決して過激ではない。むしろステアリング操作に対するノーズの動きは穏やだ。しかし、ワインディングロードに持ち込むと印象は一変する。切り始めにギュッと強引に曲げるのではなく、ドライバーの意思に対してどこまでも忠実に曲がっていく。S字の切り返しなどでも重さをまったく感じない。右から左へと大きく速くステアリングを切っても、あれっ? というぐらいの自然さで向きが変わる。もちろん"お釣り"なんてまったくでない。スッと曲がってスッと収まる。
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