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新型ゴルフVI どこにも欠点のないクルマ

引き継がれた熟成への一本道

話題をゴルフ6へと進める前に、まずは時計を5年半ほど巻き戻そう。それが、ゴルフ6というクルマをよりよく理解するための早道だ。

2003年のフランクフルトモーターショーでデビューした先代ゴルフ5を見たとき、正直ピンとこなかった。会場で煌びやかなカクテル光線を浴びるその姿は、しかしゴルフ4と比べて「明らかに質感が上がった」とか「明らかにカッコよくなった」という印象を抱かせなかったからだ。ところが、その後ステアリングを握る機会を得て、消化不良感は完全に吹き飛んだ。ゴルフ3に対して静的質感の2レベルアップを果たしたのがゴルフ4だったとすれば、ゴルフ5はゴルフ4並の静的質感を保ったまま、乗り味の2レベルアップを実現していた。従来の7メートルから70メートルへとケタ違いに増えたレーザー溶接がもたらす強固なボディや、コストのたっぷりかかったリアマルチリンクサスペンション、2リッター直噴ガソリンエンジン、6速ATといった贅沢かつ先進的なメカニズム群は、きわめて質感の高い乗り味をゴルフ5に与えていたのである。

しかし、デザインや質感とは違って、「乗り味」なる、とても大切だけれど、曖昧模糊としたものが広く一般に認知されるには時間がかかる。ゴルフ5がデビュー当初鮮やかなスタートダッシュを決められなかった要因はおそらくそこにある。だが、ときが経つにつれゴルフ5の実力のほどは徐々に知られるようになり、それと歩調を合わせるように販売も尻上がりに上向いていった。価格の安さや見てくれではなく、中身が評価され売れた……まさに実力で掴んだ勝利である。

その後、TSIエンジンやDSGといったパワートレーンの革新が加わることで、ゴルフ5の基本性能はさらに高みへと上り詰めていった。その結果、モデル末期になってもなお、ゴルフ5は世界最高峰のFF・2ボックスカーという評価と、高い人気を保ち続けたのだ。そんなゴルフ5から譲り受けた主要コンポーネンツをさらに熟成しつつ、新しいデザインを採り入れたのがゴルフ6である。となれば当然、期待は高まる!

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