新型グランドボイジャー 元祖ミニバンに理由あり
掲載 更新 carview! 文:佐野 弘宗/写真:荒川 雅臣
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ボディスタイルとインテリアデザインの刷新、エンジンの排気量アップ(3.3L→3.8L)と6速ATの新採用、フロアシフト(仕向け地によってはコラムシフトやインパネシフトもあるらしい)ホイールベース延長とボディ拡大、リアサスのコイルスプリング化…と、フルモデルチェンジをうたうに相応しい内容の新型グランドボイジャーだが、インテリアの居心地そのものは従来と大きく変わりない。天井の造形は新しくなっているが、フロアの高さや絶対的なサイズ、乗り込んだときの雰囲気…といったインテリアの核となる部分では新旧グランドボイジャーは酷似している。
上級のリミテッドでサードシートにワンタッチ電動収納機構が新しく追加されたものの、ツーリングの手動収納機構は従来と同じで、3列目の居住空間やシート形状も、少なくとも体感上は先代モデルとほとんど同じ。ただし、これは悪い意味ではない。身長180cm級がセカンドとサードの両方に座っても、まずまず余裕のある空間が確保できるのは、さすがは全長5mオーバー、全高1.7m強の大型ボディだけのことはあるし、分厚く座り心地のいいシートも健在だ。サードではシート全体を後ろに傾けてヘッドルームを稼ぎ出すパッケージの基本思想も新型に受け継がれている。この強く後傾したサードシートを初めて見ると少しばかり驚くが、実際に座るとカウチソファに座っているかごとくで、じつはなかなか快適なのだ。新型では中央席用のシートベルトアンカーも天井に内蔵されるようになったために、ヘッドルーム付近の障害物がなくなったのは明らかな改良点でもある。
ダッシュボードの造形もエクステリアと同様に“丸から四角へ”とデザインモチーフが大きく転換しているが、操作性や視認性は確実に進化している。6速ATのマニュアル機構を活かすためもあってシフトレバーもフロア式となり、セダンやワゴンから乗り換えても違和感はないが、シフトレバーが日本人にはちと遠めなのがアメリカンスケール(?)。体格には自信ありの私でも、無意識に手を下ろしただけだとレバーに届いていないことが何度かあった。また、見た目の品質感は確実に新型のほうが高級に見えるが、分厚いソフトパッドに包まれていたダッシュボードが全面ハード樹脂になってしまったのは残念といえば残念だけど…。
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