脳髄が溶ける珠玉のV12エンジンを堪能。ランボルギーニ「レヴエルト」がスーパーカーの新基準を打ち立てる
掲載 carview! 文:山田 弘樹/写真:ランボルギーニ・ジャパン 12
掲載 carview! 文:山田 弘樹/写真:ランボルギーニ・ジャパン 12
そんなモンスターを「はい、どーぞ」と渡されたところで、緊張しないわけがない。しかもおあつらえ向きに空は曇天で、午前中に降った雨が路面をまだ少し濡らしていた。
エッジーなカバーを指で跳ね上げて、スターターボタンを押す。高圧縮エンジンのクランクをスターターがいとも簡単に回して、“ヴァン!”と短い炸裂音と共にV12が目を覚ます。その激しさは、笑い事ではなくカミナリ様のごとしだ。
しかしステアリングの右側にあるEV用ダイヤルで「ハイブリッドモード」を選ぶと、一気に車内が静まりかえった。V型12気筒エンジンを積むスーパーカーが電動化? そんなアレルギー反応はきっとあるだろう。しかし周りの目を気にせずいつでも走り出せるこのストレスのなさを一度でも味わえば、スーパーカーにこそ電動化を歓迎すべきだとわかるはずだ。だからこその小容量バッテリーなのだろう。
ピットロードをスーパーカーが無音で走る、新しい感覚。コースインと同時に「Citta(シティ)」から「Strada(ストラーダ)」へと、ステアリング左に設けられた「ANIMA(ドライブモード)」のダイヤルを回すと、再びエンジンに火が入った。
1コーナーのエイペックスからアクセルを踏み込んでいくと、素晴らしい音色がサラウンドで響く。低回転では野太く強く、高回転になるに従い澄んでいく音色だ。9000回転を超えてもまったく頭打ちすることなく軽やかに、そして力強く吹けていく。
「Sport」モードでは8速DCTが自動でシフトを制御してくれる。ブレーキングからの連続ダウンシフトは、それだけでアトラクションである。
ストレートでは、EV用ダイヤルを回し1015HPのパワーを解放する「パフォーマンス」モードを試した。ラグのないモータートルクの立ち上がりと、全ての出力を4輪でさばき切る効率的な加速に頬が緩む。260km/hまでの加速は、あっという間だった。筆者はアヴェンタドールで、人世で初めて(メーター読みだが)300km/hを超えた経験がある。そしてこの加速ならドライ路面であれば、それ以上が求められるだろうと予想できた。参考までに最高速の公称値は、堂々の350km/hである。
ストレートのパナソニック看板付近から強めにブレーキングを掛けると、リアが若干振られ心臓が口から飛び出そうになった。路面状況や慣性重量に対するサスペンション剛性のバランスを考えればそれはあり得る動きだったが、もう少しリアのダウンフォースを高めるか、リアサスが伸びないようにした方がいい。
とはいえこの美しいボディに巨大なウイングを生やすのも無粋だから、とりあえず雨の日はあまり飛ばさないことである。ちなみにそのエアロダイナミクスは先代より61%向上しており、ダウンフォースは66%増加しているという。
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